ピアース・アロー

ピアース・アローの歴史

ピアース・アロー（英語: Pierce-Arrow）は、1901年に創業され、1938年まで活躍したアメリカの自動車ブランドです。本社はニューヨーク州バッファローにあり、高級車の製造で特に有名でしたが、商用トラックや消防車、さらにはボートやキャンプトレーラー、自転車なども手がけていました。

会社の起源

このブランドのルーツは1865年にさかのぼり、最初の会社は家庭用品を扱う企業として設立されました。特に、繊細な金箔飾りの鳥かごが名物でした。1872年には、ジョージ・ノーマン・ピアースが他の共同経営者から会社を買収し、名前をジョージ・N・ピアース・カンパニーに変更しました。その後、自転車を追加し、1900年には蒸気自動車の製造を試みましたが、失敗に終わりました。

1901年には、初の単気筒エンジンを搭載した「モトレット」を製造し、さらに1903年には2気筒自動車の「アロー」を発売します。1904年、ピアース社は高級車市場を目指し、「グレートアロー」に注力し、これは発売当初から人気を博しました。特に1905年には、耐久レースでの勝利によって評価が大きく高まりました。

ピアース・アローの発展

1906年にはアルバート・カーンがデザインした工場が建設され、これが後に政府の歴史的登録を受けます。1908年には社名が改称され、「ピアース・アロー・モーターカー・カンパニー」として新たなスタートを切ります。1909年にはアメリカ合衆国大統領ウィリアム・ハワード・タフトがホワイトハウス初の公用車としてピアース・アローを発注しました。

ピアース・アローのエンジンは当初453立方インチ（約7.4リッター）から始まり、その後は714立方インチ（約11.7リッター）、さらには823.8立方インチ（約13.5リッター）まで拡大しました。これにより、当時の市販車としては最大のエンジンを搭載していたのです。1910年には6気筒モデルに注力し、1929年までその製造を続けました。

デザインと営業戦略

1914年、ピアース・アローは特徴的なスタイリングを採用。ヘッドライトの位置を変更することで、他車との差別化を図りました。この革新によって夜間でも目立つ存在となり、ブランドの認知度が増大しました。ピアース・アローは多くの著名人やロイヤルファミリーに愛され、多数の所有者を持ちました。特に、ピアース・アロー・タウンカーは特に人気でした。

同社は広告戦略にも長けており、商品そのものを背景に置いて魅力的な場面を演出するスタイルが特徴でした。ピアース・アローの広告は、商品に対する高い品質感を訴求するものでした。

事業の終焉

1928年、ピアース・アローはスチュードベーカー社の傘下に入り、新たな展開を迎えましたが、経営は依然として厳しい状況が続きました。1933年には、新型流線型の「シルバーアロー」を発表しますが、市場の反響は限られていました。1938年には、財務状況が悪化し、最終的に会社は閉鎖を余儀なくされました。

現在の状況

閉鎖後も、ピアース・アローの名前は愛好者たちによって語り継がれています。近年、ブランド名が新たな車両に利用される動きもありましたが、商標権に関する争いが続いています。ピアース・アローは、アメリカ自動車工業の歴史において特異な地位を占めており、その美しさと技術は現在も多くの人々に愛されています。

もう一度検索