ピエール・アンドレア・サッカルド

ピエール・アンドレア・サッカルド

ピエール・アンドレア・サッカルド（Pier Andrea Saccardo）は、1845年4月23日にイタリアのトレヴィーゾで生まれ、1920年2月12日に亡くなった著名な植物学者および菌学者です。彼は、菌類研究において重要な業績を残したことで知られています。

生涯

サッカルドはヴェネツィアの高校で学び、その後パドゥア大学の工学部に進学しました。1867年に学位を取得し、1869年には博物学の教授に就任しました。彼の学術的な業績は、この時期から本格化し、1876年には自身の名前を冠した雑誌「Michelia」を創刊しました。この雑誌で彼は菌類に関する初期の研究成果を発表しました。

その後、1879年に彼はパドゥア大学の博物学の教授および植物園の館長に就任し、研究と教育に尽力しました。サッカルドの主な研究対象は菌類であり、特に有性生殖の段階が不明だった「不完全菌」や、フンタマカビ綱（Sordariomycetes）に関する140編以上の論文を執筆しました。彼が編纂したキノコの目録「Sylloge」は特に有名であり、菌類分類の体系において主流な役割を果たしました。

サッカルドは、胞子の色や形状によって不完全菌類を分類する独自の体系を確立しました。これは、後のDNA分析を基にした分類法が普及する前の、重要な分類手法となりました。

著書

サッカルドは数多くの著書を残しています。その中でも特に知られているのは以下の作品です：

• - Prospetto della Flora Trivigiana (ヴェネツィア 1864)
• - Bryotheca Tarvisina (トレヴィーゾ 1864)
• - Della storia e letteratura della Flora Veneta (ミラノ 1869)
• - Sommario d'un corso di botanica (第3版、パドゥア 1880)
• - Musci Tarvisini (トレヴィーゾ 1872)
• - Mycologiae Venetae specimen (パドゥア 1873)
• - Mycotheca Veneta (パドゥア 1874–79)
• - Michelis, commentarium mycologicum (パドゥア 1877–1882、2巻)
• - Fungi italici autographie delineati et colorati (パドゥア 1877–86、1,500枚の表と共に)

これらの著作は、彼の菌類に関する深い知識と研究成果を反映しており、後の研究者たちにとっても貴重な資料となっています。

影響と後世への遺産

サッカルドの研究は、菌類学の発展に大きな影響を与えました。彼の業績は、植物学および菌学の分野において、今でも評価され続けています。サッカルドが構築した分類体系や研究方法は、後の世代にも受け継がれ、さらなる発展に寄与しています。

サッカルドの業績を記した文献も多く存在し、たとえば、1920年に発行された「Botanical Gazette」において、彼の貢献が紹介されています。加えて、1998年に発表された「Die Geschichte der Mykologie」では、彼の研究が菌類学の歴史における重要な一部であることが述べられています。

彼の業績は、今でも多くの研究者によって参照され、菌類学のさらなる発展の基盤となっています。

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