ピエール1世・ド・クルトネー

ピエール・ド・フランス、またはピエール1世・ド・クルトネーは、12世紀のフランスに生きた王子であり、クルトネー家の始祖です。彼は、フランス王ルイ6世とアデル・ド・サヴォワの間に生まれた六男として、1126年頃に誕生しました。彼の人生は、当時のヨーロッパ社会を揺るがした十字軍遠征と深く結びついています。

彼は、クルトネー、モンタルジ、シャトー＝ルナールといった領地を治める領主でもあり、その支配は広範囲に及んでいました。1147年、ピエールは兄であるルイ7世とロベールと共に第2回十字軍に参加します。この遠征で、彼はラタキヤやダマスカスの包囲戦を含む全ての戦闘に参戦し、その勇敢さを示しました。また、この十字軍には、後に彼の妻となるエリザベートの父、ルノー・ド・クルトネーも参加していました。

ピエールは、兄アンリとロベールがルイ7世の権威に反抗した際にも、1149年から1150年にかけて一貫して王への忠誠を貫きました。この事実は、彼が単なる王族の一員ではなく、高い忠誠心と責任感を持つ人物であったことを示しています。

1179年、ピエールは再び十字軍に参加し、聖地へ向かいます。この時、彼はシャンパーニュ伯アンリ1世や甥であるボーヴェ司教フィリップ・ド・ドルーと同行しました。彼の没年は1180年から1183年の間とされており、正確な命日は不明です。

ピエールの結婚は、彼の子孫にも大きな影響を与えました。1150年以前に、クルトネー領主ルノーの娘エリザベートと結婚し、多くの子をもうけました。その中でも特筆すべきは、息子ピエールがラテン帝国皇帝ボードゥアン1世の妹ヨランドと結婚し、ラテン皇帝となったことです。また、娘のアリックスは、アングレーム伯エマール・タイユフェルと再婚し、イザベラ・オブ・アングレームの母となりました。イザベラは後にイングランド王ジョンと結婚しており、ピエールの血筋がヨーロッパの王侯貴族に広がっていく様子がうかがえます。

他にも、娘のウスタシーは、アカイア公ギヨーム1世と再婚しており、その子孫も歴史に名を残しています。息子ロベールはシャンピニェル領主となり、その孫アミシーはアルトワ伯ロベール2世と結婚しました。ピエールの子どもたちは、それぞれが歴史の重要な局面で活躍し、その血筋はヨーロッパ各地へと広がっていきました。

ピエール・ド・フランスの生涯は、十字軍という動乱の時代における王族の役割、そして結婚を通じた家系の拡大という中世ヨーロッパの社会構造を象徴しています。彼の生涯と子孫は、中世ヨーロッパの歴史を語る上で欠かせない重要な要素となっています。

ピエールの子女は以下の通りです。

ピエール（1155年 - 1219年） - ラテン皇帝
娘（1156/58年 - ?）
アリックス（1160年 - 1218年）
ウスタシー（1162年 - 1235年）
クレマンス
ロベール（1168年 - 1239年）
フィリップ
イザベル
コンスタンス
ギヨーム（1172年 - 1233/48年）

参考文献として、下津清太郎 編 『世界帝王系図集 増補版』 （近藤出版社、1982年）が挙げられます。

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