ピギーバック輸送

ピギーバック輸送とは

ピギーバック輸送は、鉄道貨物輸送の一形態で、トラックやコンテナを積載したトレーラーを、そのまま専用の貨車に載せて目的地まで輸送する方法です。この方式は、特に長距離輸送において、トラックドライバーの負担軽減や輸送効率の向上を図る目的で導入されます。

各国におけるピギーバック輸送

アメリカ

車両限界の大きいアメリカでは、トレーラーをそのまま長物車に積載する方式が一般的です。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、車両限界の関係から、車輪径を小さくした低床の専用貨車を使用し、大型トラックを輸送しています。

日本

日本では、過去にピギーバック輸送を導入した歴史があります。しかし、その導入には様々な課題がありました。

日本におけるピギーバック輸送の歴史

日本のピギーバック輸送は、1966年に試作されたトレーラー運搬用の貨車から始まりました。しかし、積み下ろしの手間や、同時期に検討されていたコンテナ輸送の導入により、一旦は量産が見送られました。

1983年には、大型トラックを輸送するための貨車が試作されましたが、技術的な難しさや費用対効果の問題から実用化には至りませんでした。

1986年、集配用の4トントラックを2台積載できる専用の平床車が開発され、国鉄でピギーバック輸送が開始されました。この輸送方法は、トラックドライバー不足の解消に貢献し、専用列車や貨車も導入されました。しかし、バブル崩壊後の景気低迷により、トラックドライバーが余剰となり、2000年にピギーバック輸送は廃止されました。

日本におけるピギーバック輸送の問題点

日本におけるピギーバック輸送は、以下の点で課題を抱えていました。

積載効率の悪さ：4トントラック2台という積載制限により、輸送効率が低かった。
費用対効果の低さ：専用の貨車や設備が必要となり、コストがかかった。
天候に左右される：鉄道輸送は、悪天候による運休が多かった。

ピギーバック輸送のその後

ピギーバック輸送が廃止された後、JR貨物は、デュアルモードトレーラーの開発を試みましたが、法制上の問題から実現しませんでした。その後、コンテナ輸送を主体としたモーダルシフトに移行し、輸送効率の向上とコスト削減を図っています。

具体的には、

着発線荷役方式(E&S方式)の導入
海上コンテナ対応の新型コンテナ貨車の開発
貨物電車の開発と宅配便会社との提携

などが挙げられます。

これにより、貨車とトレーラートラックの両方が海上コンテナに対応し、コンテナの積み替えだけで済むようになり、積載効率が向上し、コストも低減しました。

ピギーバック輸送の意義

結果的に廃止となってしまったものの、モーダルシフトを推進したという点で、ピギーバック輸送が果たした役割は大きいものでした。

その他のピギーバック輸送の事例

黒部峡谷鉄道：道路のない沿線へ車両や重機を輸送するために、貨車に載せて輸送が行われています。
フランス：ピギーバック輸送用の鉄道路線が開通しており、大型トラックの輸送に利用されています。
* スイス：国内通過時に鉄道貨車に大型トラックを積載するピギーバック輸送を奨励しています。

まとめ

ピギーバック輸送は、トラックやトレーラーを貨車に載せて輸送する鉄道貨物輸送の一形態です。日本では一時的に導入されましたが、積載効率やコスト面の問題から廃止されました。しかし、モーダルシフトを推進したという点で重要な役割を果たしました。現在ではコンテナ輸送が主流となっていますが、ピギーバック輸送の技術や経験は、今後の物流の発展に活かされる可能性があります。

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