長物車

長物車：その歴史と種類

長物車とは、主に長尺貨物を輸送するために設計された貨車の一種です。その形状から、長尺物以外の貨物も輸送される場合があります。

長物車の構造と歴史

初期の長物車は、複数の車両に積み荷を繋ぐ回転枕木を備えたシンプルな構造でした。その後、車体長の長いボギー車が主流となり、荷崩れ防止のための柵が設置されるようになりました。

台枠の上に鋼板や木板製の床板を敷いたフラットな車体が特徴で、木材、電柱、鋼管、さらには戦車などの輸送にも利用されてきました。

明治時代には小型の2軸車が主流で「材木車」と呼ばれ、「チ」という記号が用いられました。大正時代にはボギー車や3軸車も登場し、戦時中には軍需輸送を目的とした高速運転可能な車両が大量に製造されました。

戦後、一部の車両は他形式からの改造で運用されてきましたが、本格的な新造は限られていました。1970年代には老朽化が問題となり、近代化のため新造車両が投入されましたが、財政難により計画は縮小されました。

長物車の種類

長物車は大きく分けて以下の種類があります。

長尺物輸送用

汎用型: 長尺木材、電柱、鋼管など様々な長尺物を輸送します。荷崩れ防止用の柵のみのシンプルな構造です。
専用型: レール、鋼板、鋼片など特定の積荷を輸送するために設計された車両で、専用の受台を備えています。レール輸送用の車両には、汎用型にレール用緊締装置を取り付けたものもあります。

その他用途

遊車や控車として使用される2軸車やボギー車も長物車に分類されます。操重車の控車として使われる車両には、吊り上げ金具が搭載されています。

コンテナ輸送

日本のコンテナ車は、当初長物車に分類されていましたが、1966年のコンテナ車制定以降は別分類となりました。しかし、特定のコンテナを専用とする私有貨車は、運賃制度上の都合から長物車に分類されているケースもあります。海上コンテナと長尺物を兼用する車両や、スライドバンボディシステムを採用した車両なども長物車に分類されています。

国鉄・JRにおける長物車

国鉄・JRにおける長物車の記号は「チ」で、これは「Timber（材木）」に由来しています。

国鉄時代には、様々な形式の長物車が製造・運用され、老朽化やコンテナ輸送への移行に伴い、多くの車両が廃車となりました。JR発足後も、保線用レール輸送などで長物車は使用されていますが、その数は減少しています。

私鉄における長物車

私鉄においても、JRと同様に保線用レール輸送などで長物車が使用されています。

まとめ

長物車は、日本の鉄道輸送において長年にわたり重要な役割を果たしてきました。その歴史と進化は、鉄道技術の発展と密接に関連しており、今後も鉄道輸送の重要な一部として存在し続けるでしょう。様々な用途、形態を持つ長物車は、鉄道の歴史を語る上で欠かせない存在です。今後の技術革新や輸送ニーズの変化が、長物車のあり方にも影響を与えることが予想されます。

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