ピクサス

ピクサス (PIXUS) について

ピクサスは、キヤノンが展開する家庭用インクジェットプリンターのブランドです。このブランドは日本国内でトップシェアを誇り、特にエプソンのカラリオとの競争が激しく展開されています。エプソンのカラリオシリーズがピエゾ方式を採用しているのに対し、ピクサスではバブルジェット（サーマル）方式を採用しています。

ピクサスは、家庭用カラープリンターの初期段階で圧倒的な市場シェアを持っていましたが、1997年にエプソンが写真印刷に特化したプリンターを発表したことにより、そのシェアが逆転しました。その後、数年間は商品開発において迷走が見られましたが、2002年以降に「フォトインク」を搭載しなくでも高画質の写真印刷ができるプリンターを開発。同年以降から徐々にシェアを回復し、2000年代後半にはエプソンとともに市場での競争が続いています。

技術と製品ラインナップ

ピクサスでは、写真と文書の印刷それぞれに求められる高画質を両立させています。具体的には、全機種に普通紙での印刷に適した顔料ブラックインクを搭載し、上位機種においては顔料と染料（写真印刷に向く）を併用しています。例えば、2010年型のモデルでは「W黒」という名称で広く知られていました。

2007年以降は、複合機が主流となり、家庭用A4複合機がラインナップの中心となります。これにより、従来の家庭用複写機「ファミリーコピア」の後継機能も担うようになりました。

WonderBJシリーズ

また、ピクサスにはWonderBJ（ワンダービージェイ）シリーズも存在します。これらは、インクジェット方式によるシリアルプリンターであり、2001年からはPIXUSとしてブランド名が統一され、2004年以降はBJの名称が廃止されています。輸出向けにはPIXMA（ピクシマ）という名称が使われています。

Exif PrintとPIMの確執

技術的な競争も行われています。2001年にはエプソンがPIM（Print Image Matching）を導入し、デジタルカメラとの互換性を強化しましたが、これを受けてキヤノンはExifのバージョンアップを呼びかけました。両者の技術にはそれぞれ特色があり、後にExif 2.2が標準規格として広く使われることになります。

VIVIDとPictBridge

さらに、VIVIDという機能も重要です。これは、キヤノンのデジタルフォトカラー技術に基づき、より鮮やかで忠実な色再現を実現するための機能です。また、PictBridgeを利用すれば、デジタルカメラとパソコンを通さずに直接印刷が可能になります。多くのデジタルカメラとプリンターがこの規格に対応しており、利便性を高めています。

写真用紙と印刷技術

ピクサス専用の「プロフェッショナルフォトペーパー」は、高品質な写真用紙として位置付けられています。非常に高い光沢度を誇り、キヤノンのプリンターと組み合わせることで優れた印刷品質を実現します。なお、用紙には過去に中身の変更があったものの、印刷においては調整が必要です。

ChromaLife100

キヤノンが提唱する保存性の高い印刷技術「ChromaLife100」は、純正品のインクと用紙の最適な組み合わせによって実現され、長期保存が可能です。保存性については、独自の研究に基づき、空気に触れる状態で10年、アルバムでの保存なら100年とされています。

製品の進化と発展

ピクサスは時代の変化に合わせて製品ラインを拡充し、機能性だけでなくデザイン性も高めてきました。近年では、Wi-Fiやスマートスピーカーとの接続機能の追加など、ユーザーの利便性を追求する技術革新が続いています。最新のPIXUSシリーズは、それぞれのモデルが家庭でのプリントニーズに応えられるよう進化しており、今後の展開にも期待がかかります。

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