ピコ (歌手)

ピコ（PIKO）は、1988年3月11日生まれ、兵庫県姫路市出身の男性歌手です。彼の最大の魅力は、その幅広い声域と、男性と女性の両方の声質を使い分けることができる点にあります。この特異な声質は、彼の音楽活動において、非常に大きな武器となっています。

2007年末からニコニコ動画で「歌ってみた」動画の投稿を開始し、ネット上で人気を集めました。この活動を通して、ピコは多くのファンを獲得し、その才能が広く知られるようになりました。彼は自身の愛犬の名前を由来とする「ピコ」という名前で活動しており、独自の顔文字「ﾋﾟωﾟﾟｺ」もファンにはお馴染みです。また、ニコニコ動画では、同じ歌い手である赤飯と「赤ピコ飯まー☆」というユニットを組み、活動しています。

ピコの音楽活動は、高校2年生の頃にコピーバンドのボーカルを務めたことから始まりました。大学時代には軽音楽部で活動し、その後、ニコニコ動画の「歌ってみた」動画に触発され、自身も動画投稿を始めました。2009年にはインディーズデビューを果たし、2010年にはシングル「Story」でメジャーデビューを果たしました。

メジャーデビュー後も、ピコの音楽活動は多岐にわたります。シングルには、VOCALOIDキャラクター（主に初音ミクなど）が歌唱する楽曲のカバーを収録するなどの特徴的な試みも行っています。さらに、彼の声を基にした歌声合成ソフト「開発コードPIKO『歌手音ピコ』」が発売されるなど、ボーカロイドとの深い関わりも持っています。

「開発コードPIKO『歌手音ピコ』」は、ヤマハの音声合成技術VOCALOIDを使用した音楽制作ソフトであり、ピコの声が収録された歌声ライブラリを使用して、パソコン上でピコの歌声を合成することができます。このソフトウェアは、ピコの声質の特徴を最大限に生かしており、男声と女声の両方に対応できる点が大きな特徴です。ピコ自身もVOCALOID楽曲のカバーを歌う活動を通じてメジャーデビューしており、このソフトウェアの発売は、まさに「歌い手」が「VOCALOID」になるという、異例の現象として注目を集めました。

2015年に所属レーベルとの契約を解消してからは、ライブを中心とした活動を行っています。2018年には、自身が作詞作曲を手掛けた配信シングル「HERO」をリリースするなど、音楽家としての才能も発揮しています。しかし、2019年には末期の腎不全と診断され、活動を一時休止。その後、母親からの腎移植手術を経て、2020年10月に復活ライブを開催し、ファンを感動させました。2024年には、デビュー17周年を記念したライブを開催するなど、現在も精力的に活動を続けています。

ピコは、音楽活動だけでなく、ラジオ、テレビアニメ、舞台など、幅広い分野で活躍しています。彼の出演作品は、アニメ「貧乏神が！」や舞台「ロードス島戦記」など多岐にわたります。2024年には、「ニコニコ超会議2024」などのイベントにも出演し、その活動の幅広さを示しています。

ピコの独特な歌声と表現力は、多くのファンを魅了し続けています。彼の音楽活動は、今後もさらに多岐にわたり、私たちを楽しませてくれることでしょう。

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