ピチンチャ県

ピチンチャ県は、エクアドルの北部山岳地帯に位置する県で、県都であり最大の都市はキトです。2008年までサント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス郡はピチンチャ県の管轄下にありましたが、現在は独立したサント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス県となっています。

地理と生態系

ピチンチャ県の地理的な特徴は、その多様性にあります。県東部は、アンデス山脈の高い山々が連なる山岳地帯であり、一方、県西部は、低い丘陵地帯のチョコ地域が広がっています。このチョコ地域は、パナマからエクアドル西部にかけて広がる雲霧林、チョコ・ダリエン雲霧林の一部であり、アマゾン熱帯雨林やガラパゴス諸島と並び、エクアドルにおける生物多様性のホットスポットの一つとされています。

この地域には、非常に多様な動植物が生息しており、その豊かな生態系は世界的に注目されています。具体的には、以下のような生物たちが確認されています。

哺乳類: メガネグマ、エクアドルマントホエザル（マントホエザルの亜種）、パカラナ、オリンギトなど、約270種
爬虫類: 約210種
鳥類: チョコキムネオオハシ、ハラガシラインコなど、約200種
両生類: ヤドクガエル科のHyloxalus toachiなど、約130種

これらの生物多様性の価値が認められ、2018年にはユネスコの生物圏保護区に指定されました。この指定は、この地域の自然環境保全にとって非常に重要な意味を持ちます。

隣接する県

ピチンチャ県は、複数の県と境界を接しています。具体的には、北はインバブーラ県とエスメラルダス県、南はコトパクシ県とサント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス県、東はナポ県とスクンビオス県、西はエスメラルダス県とサント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス県と隣接しています。これにより、ピチンチャ県はエクアドルの地理的な中心部に位置していると言えます。

郡と都市

ピチンチャ県は、8つの郡に区分されています。これらの郡は、それぞれ独自の行政機能を有し、地域住民の生活を支えています。この区分けにより、県全体としての効率的な行政運営が実現しています。

まとめ

ピチンチャ県は、アンデス山脈の山岳地帯からチョコ地域の丘陵地帯まで、多様な地形と生態系を持つエクアドルの重要な県です。特に、チョコ・ダリエン雲霧林は生物多様性の宝庫であり、多くの動植物が生息しています。ユネスコの生物圏保護区に指定されたことで、その自然環境の保全はますます重要になっています。また、首都キトを擁する県として、エクアドルの政治、経済、文化の中心としての役割も果たしています。

ピチンチャ県ウェブサイト （スペイン語）

関連情報

* エクアドルの行政区画

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