ピティリム・ソローキン

ピティリム・アレクサンドロヴィッチ・ソローキンの生涯と業績

ピティリム・アレクサンドロヴィッチ・ソローキン（Pitirim Alexandrowitsch Sorokin）は、1889年1月21日にロシアで生まれ、1968年2月11日にアメリカで亡くなった著名な犯罪学者、社会学者及び政治家です。彼は様々な社会学理論を構築し、アメリカにおける社会学の発展に大きく寄与しました。彼の人生は、波乱に満ちたものであり、特にロシア革命への参加や、後の亡命など、多くの変化を経験しました。

幼少期と教育

ソローキンは、ロシア北部のコミ人の母親のもとに生まれました。父親は聖像製作を行う職人でしたが、彼が3歳のときに母を、11歳のときには父を失いました。兄と共に村を離れ、旅職人として生計を立てる選択をし、ロシアの小さな町ヤレンスクに定住しました。彼は奨学金を獲得し、教育を受ける機会を得て、小学校高等科に進学しましたが、政治活動に関与したとして1906年に逮捕され、師範学校を卒業することができませんでした。

その後、彼はペテルブルクに移り、夜間学校や心理神経科学校を経てサンクトペテルブルク大学に入学しました。大学では社会学を学び、卒業後は同大学で社会学教授として教鞭を執ることになります。彼は2度にわたり保守派によって投獄され、その体験が後に犯罪学と刑罰学への興味を引き起こすこととなりました。

社会革命活動と亡命

ソローキンは社会革命党の党員として、ロシア革命において重要な役割を果たしました。憲法制定議会議員として活動し、ケレンスキー臨時政府の補佐官となりますが、十月革命後はレーニンの独裁路線を批判したために逮捕され、死刑を宣告されました。それでも特赦を受け、再びサンクトペテルブルク大学の教授として活動しましたが、レーニン政権の圧力を受けて1922年にアメリカに亡命を余儀なくされました。彼は1924年から1929年までミネソタ大学で社会学教授として教え、1930年にはアメリカの市民権を取得し、ハーバード大学に社会学部を創設し、初代教授となりました。彼は1959年まで同校で教鞭を執りまして、社会学の発展に貢献しました。

理論と批判

ソローキンはソ連の共産主義に否定的な立場を取り、ナチズムと共産主義を同列で批判しました。彼は共産主義を疫病や害虫のような存在と見なしており、この考えは当時の社会において広く理解されてはいませんでした。

研究内容と著作

ハーバード大学では、彼とともにタルコット・パーソンズが一緒に研究活動を行いましたが、パーソンズはソローキンの作品を無断で盗用したとして批判の対象となることもありました。また、彼の門下からはロバート・キング・マートンなどの重要な学者が輩出されました。

ソローキンの著作は多岐にわたり、いくつかの重要な作品が日本語に翻訳されています。

• - 『社会学の基礎理論：社会・文化・パーソナリティ』
• - 『都市と農村』
• - 『ヒューマニティーの再建』
• - 『現代の危機』
• - 『利他愛　～善き隣人と聖者の研究』

彼の研究は、社会学の理論を深める上で重要な指針を示し、多くの人々に影響を与えました。彼の業績は、社会学の枠を超えて文化や倫理といった分野にも及んでおり、今でも多くの学者によって引用されています。ソローキンの功績は、彼の死後も色あせることなく、現在の社会学にも影響を与え続けています。

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