ピピン1世 (アクィタニア王)

ピピン1世（797年 - 838年12月13日）は、フランク王ルートヴィヒ1世の次男として生まれ、アクィタニア王として知られています。彼の生涯は、フランク王国の内紛と権力闘争に深く関わっていました。

生涯

817年、父ルートヴィヒ1世が制定した「帝国分割令」により、ピピン1世はアクィタニア王の地位を与えられました。この分割令は、フランク王国の領土を兄弟間で分割し、それぞれの領域を統治させるものでした。しかし、この分割は後の兄弟間の対立の原因となります。

830年と834年には、兄であるロタール1世が父ルートヴィヒ1世に対して反乱を起こしました。この時、ピピン1世は、ロタールの野心を警戒し、弟ルートヴィヒ（後の東フランク王ルートヴィヒ2世）と共に、ロタールによって帝位を追われた父を復権させるために行動しました。この行動は、当時のフランク王国の政治情勢において重要な意味を持ち、ピピン1世の政治的判断と行動力を示すものと言えるでしょう。

838年、ピピン1世は死去しました。彼の死後、アクィタニア王位は息子のピピン2世が継承しました。しかし、父ルートヴィヒ1世は、ピピン2世ではなく、末息子のシャルル2世（後の西フランク王シャルル2世）にアクィタニアを与えることを決定しました。この決定は、アクィタニアにおける権力闘争を激化させる要因となりました。ピピン2世は、叔父であるシャルル2世の王位を承認せず、自らアクィタニア王として抵抗を続け、この争いは後に西フランク王国を巻き込む大きな内戦へと発展していくことになります。

子女

ピピン1世には以下の二人の子供がいました。

ピピン2世（823年 - 864年?）：アクィタニア王として、叔父シャルル2世と王位を巡り争いました。彼の治世は、アクィタニアの内乱の時代として知られています。
シャルル（830年頃 - 863年）：マインツ大司教（856年 - 863年）として、教会で重要な役割を果たしました。彼は、政治的な争いには直接関与していませんでしたが、教会の影響力を通じて、当時の社会に一定の影響を与えたと考えられます。

ピピン1世の生涯は、フランク王国の分裂と再編の時代における重要な出来事と深く結びついています。彼の行動と決断は、フランク王国の歴史において重要なターニングポイントとなりました。アクィタニアの統治者として、また、フランク王国の内紛における重要な人物として、ピピン1世は歴史に名を刻んでいます。

参考文献

柴田三千雄 他 『世界歴史大系 フランス史1』 山川出版社、1995年
Timothy Reuter (translated), The Annals of Fulda, Manchester University Press, 1992.

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