ピュ〜ぴる

ピュ〜ぴる（1974年 - ）は、東京都出身の現代美術作家です。10代の頃から独学で洋裁を始め、独自のコスチュームを制作するようになりました。1997年頃からは、型紙を使わず、裁縫やニッティングを重ねることでキャラクターを表現する独自のスタイルを確立しました。

彼女の作品の特徴は、自身が制作したコスチュームを身につけ、そのキャラクターになりきるパフォーマンスを行うことです。初期にはニット作品を精力的に制作し、3年半ほどの間に9体の作品を生み出しました。当時、自身がペイントを施した部屋が雑誌のインテリア特集で紹介されたことがきっかけで、カメラマンの吉永マサユキとの出会いを果たし、作品の写真撮影を行うことになります。

その後、ニューヨークのカルチャー誌『ペーパー・マガジン』で特集されたことや、イタリア版『VOGUE』に掲載されたことで、海外での知名度を高めていきました。横浜トリエンナーレ2005への参加を機に、本格的に現代美術家としての活動を開始し、2007年にはタイで性別適合手術を受けています。2010年には、映画監督の松永大司が8年間ピュ〜ぴるを撮影したドキュメンタリー映画『ピュ〜ぴる』（Pyuupiru 2001-2008）が海外の映画祭で発表され、2011年3月には日本でも公開されました。

主な作品としては、ニット作品の「PLANETARIA」（2003年）、約5万羽の金の折り鶴を使用したインスタレーション作品「LOVE REINCARNATION」（2005年）、祖母の死から着想を得たオマージュ作品「GRAND MOTHER」（2008年）、自己の変容の軌跡を表現したセルフポートレート作品「SELF PORTRAIT」（2008年）、純白のドレスで変容を表現した立体作品「VIRGIN WHITE」（2008年）などがあります。

これらの作品は、GALLERY SPEAK FOR（東京）、横浜トリエンナーレ、MOCA Taipei、横浜美術館、Kuandu Museum of Fine Artなどで発表されています。また、グループ展にも多数参加しており、New Benaki Museum（アテネ）、Museum Boijmans Van Beuningen（ロッテルダム）、国立台湾芸術大学 開渡美術館（台北）など、国内外の美術館で作品が展示されています。

パフォーマンス活動も積極的に行っており、横浜美術館、MOCA TAIPEI、SOLOMON R.GUGGENHEIM MUSEUMなどでパフォーマンスを披露しています。作品「PLANETARIA」は、Museum Boijmans Van Beuningenにパブリックコレクションとして収蔵されています。

その他、Qomolangma Tomatoのアルバムのアートディレクション、UKAWANIMATION!のコスチュームデザイン、読売新聞夕刊でのコラム連載、ABSOLUTE VODKA WORLD CAMPAIGNのクリエイティブディレクターなど、幅広い分野で活動しています。映画『ピュ〜ぴる』（Pyuupiru 2001-2008）では本人役で出演し、映画『モンスターズクラブ』では特殊メイクデザインも担当しました。

ピュ〜ぴるの作品は、自己のアイデンティティやジェンダー、生と死といったテーマを探求し、観る者に深い問いを投げかけます。その独特な世界観は、国内外で多くの人々を魅了し続けています。

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