ピョートル・レイテル

ピョートル・レイテル

ピョートル・レイテル（Piotr Rytel、1884年5月16日 - 1970年1月2日）は、ポーランドの著名な作曲家、音楽教育者、そして音楽評論家でした。ヴィリニュスで生を受け、ワルシャワでその生涯を閉じました。彼の名前は、ピョートル・リテルやピエール・リヒテルといった表記でも知られています。

生涯

レイテルの音楽家としてのキャリアは、1903年にワルシャワ音楽院（現在のショパン音楽アカデミー）に入学したことから始まりました。彼はここで、高名なアレクサンドル・ミヒャロフスキにピアノを、ジグムント・ノスコフスキに作曲を師事し、1908年まで研鑽を積みました。学業を終えた後の1911年、彼はワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の創立10周年を記念するコンクールにおいて、自身の交響詩『ダンテの夢』で入賞を果たし、作曲家としての才能が認められます。

教育者としても、レイテルは長きにわたりポーランドの音楽教育に貢献しました。1911年から1939年までの間、彼は母校であるワルシャワ音楽院で教鞭を執り、和声、楽式論、ピアノといった幅広い科目を担当しました。1932年には作曲科の教授に就任し、教育者としての地位を確立します。この期間、彼は音楽院の芸術・学術部門の管理者の一員としても活躍しました。

第二次世界大戦という困難な時代にあっても、レイテルは教育活動を続け、スタニスラフ・カズロが主宰する地下音楽院で教え子たちを指導しました。戦後も彼の教育への情熱は衰えず、1945年から1948年にかけてワルシャワ音楽学校で作曲を教えました。この時期の教え子の中には、後にポーランドを代表する作曲家となるタデウシュ・バイルト、Włodzimierz Kotoński、そしてAndrzej Markowskiなどがいます。同時期、彼は1945年から1948年までオペラ公演の監督を務め、また1946年から1947年にはワルシャワ音楽学校の副校長を務めるなど、多方面で音楽界に貢献しました。さらに、1956年から1961年には、バルト海沿岸の都市ソポトにある音楽学校でも後進の指導にあたりました。

教育や創作活動に加え、レイテルは音楽評論家としても精力的に活動しました。1908年から1960年代にかけて、彼はポーランドの様々な音楽雑誌に芸術論や批評記事を活発に執筆し、音楽界の動向に影響を与えました。また、音楽関連の主要な団体で要職を歴任しました。現代ポーランド作曲家協会の役員（1925年-1933年）、音楽演劇記者協会の副会長（1925年-1935年）、フレデリック・ショパン協会の副会長（1947年-1955年）、ワルシャワ音楽協会の会長（1948年-1952年）などを務め、ポーランド作曲家組合のメンバーでもありました。

その長年の功績に対し、レイテルは1937年にポーランド復興勲章カヴァレルスキ十字勲章を、1960年にはグダニスク市から賞を受賞しています。

主な作品

ピョートル・レイテルは、管弦楽、器楽、声楽、舞台作品など、幅広いジャンルで数多くの作品を生み出しました。特に交響詩には優れたものが多く見られます。

ピアノソナタ第1番 ハ短調 (1906)
変奏曲 嬰ヘ短調 - ピアノのための (1906)
変奏曲 - 弦楽四重奏のための (1906)
ピアノ協奏曲 (1907)
ピアノソナタ第2番 イ長調 (1907)
交響詩『Grażyna』 (1908, 1954)
カンタータ『讃歌』 - ソプラノ、テノール、混声合唱、オーケストラのための (1908)
交響曲第1番 ロ短調 (1909)
序曲形式の詩 - オーケストラのための (1910)
交響詩『叙情詩』 (1910)
交響詩『海賊』 (1911)
交響詩『ダンテの夢』 (1911)
交響詩『聖なる林』 (1913)
交響詩『Legenda o św. Jerzym』 (1918)
オペラ『Ijola』 (1927)
交響詩『Wstęp do dramatu』 (1931)
バレエ『Faun i Psyche』 (1931)
オペラ『Andrzej z Chełmna』 (1939, 1949)
オペラ『Krzyżowcy』 (1941)
カンタータ『スターリン』 - バリトン、混声合唱、オーケストラのための (1949)
交響曲第2番 『Mickiewiczowska』 - テノール、混声合唱、オーケストラのための (1950)
交響曲第3番 - テノールとオーケストラのための (1950)
ヴァイオリン協奏曲 (1950)
ピアノのための練習曲 (1950)
七つの前奏曲 - アコーディオンのための (1950)
ロマンス - クラリネットとピアノのための (1951)
前奏曲とトッカータ - ピアノのための (1951)
『森の中に雪が舞う』 - 無伴奏合唱のための (1951)
交響詩『Żelazowa Wola』 (1952)
バレエ『Śląski pierścień』 (1956)
シューマンの主題による変奏曲 - クラリネットとピアノのための (1957)
カンタータ『アガメムノンの墓』 - バリトン、混声合唱、オーケストラのための (1959)
交響曲第4番 『Koncertująca』 - フルート、クラリネット、ホルン、ハープ、オーケストラのための (1960)

門下生

レイテルは教育者として、後に国際的に活躍する多くの優れた音楽家を育てました。彼の指導を受けた主な門下生には、以下のような人物がいます。

アレクサンドル・タンスマン
タデウシュ・バイルト
Włodzimierz Kotoński
Andrzej Markowski
トマス・キーセヴェッテル
ステファン・キシェレフスキ
アンジェイ・パヌフニク
* ピョートル・ぺルコフスキ

ピョートル・レイテルは、作曲、教育、評論、そして音楽組織での活動を通じて、ポーランド音楽界の発展に多大な貢献をしました。その多岐にわたる活動は、現代ポーランド音楽の礎を築く上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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