ピロロキノリンキノン

ピロロキノリンキノン（PQQ）

ピロロキノリンキノン（Pyrroloquinoline quinone, PQQ）は、1964年にJ.G. Hauge及びその仲間によって、細菌のグルコース脱水素酵素に含まれる重要な酸化還元補酵素として発見されました。この発見は、ニコチンアミドやフラビンに次ぐ第三の補酵素とされ、科学界に大きな影響を及ぼしました。その後、AnthonyとZatmanは新しい酸化還元補酵素を発見し、これにMetoxatinという名前をつけました。1979年にはSalisburyやDuineの研究グループがメチロトローフ（メタノール資化菌）のメタノール脱水素酵素からPQQを抽出し、その分子構造を解明しました。また、Adachiのチームも酢酸菌の脱水素酵素においてこれを確認しました。このように、PQQを含む酵素群は「キノプロテイン」として知られ、特にグルコース脱水素酵素はグルコースセンサーの開発に利用されています。

生理作用

その後の研究により、PQQには細菌の成長を促進する効果、抗酸化作用、さらには神経保護作用があることが明らかになりました。1989年には、Ruckerの研究グループがPQQ欠乏食を与えたマウスの実験結果を発表し、これによりPQQが哺乳類においても補酵素として機能する可能性が示唆されました。これに関連し、アミノアジピン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ（AASDH）がPQQを必要とすることが考察され、PQQのビタミンとしての可能性が指摘されましたが、Ruckerのグループは、直接的な証拠が不足していることを指摘し、PQQをビタミンと呼ぶにはさらに研究が必要であると述べています。

存在

PQQは、多くの食品に含まれており、特に発酵食品や一部の果物や野菜で高濃度で見られます。この内容から、PQQの摂取は栄養バランスの一環として重要視されるべきと考えられています。PQQの働きや効果については、今後のさらなる研究を通じて明らかにされていくことが期待されています。

まとめ

PQQは、1964年に発見されて以来、その多様な生理活性や可能性について研究が進められています。抗酸化作用や神経保護効果を有するPQQは、特に健康や栄養の分野で注目を集めており、今後の応用が期待されています。

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