ピンク・パンサーの息子

ピンク・パンサーの息子

『ピンク・パンサーの息子』は、1993年に公開されたコメディ映画で、ブレイク・エドワーズが監督を務めたシリーズの最終第8作です。この作品は、名俳優ピーター・セラーズが演じたクルーゾー警部の息子であるジャック・ガンブレリ巡査（ロベルト・ベニーニ）を中心に展開されます。セラーズが1980年に他界した後に制作された作品としては、これが3作目となっています。音楽は、名作に数多く貢献したヘンリー・マンシーニが手掛けています。

ストーリー概要

物語は、中東の国ルガシュで誘拐された王女ヤスミンの行方を巡る捜査がメインテーマです。フランス大統領の命により、パリ警察のドレフュス警視は捜査に乗り出します。彼は地元署のジャック・ガンブレリ巡査と運命的に出会いますが、ジャックはじつはかつての名警部クルーゾーの息子であり、彼の母マリアからは父の存在を一切知らされていませんでした。

ジャックは父への憧れを抱きながらも、王女の失踪事件を目の当たりにし、一目惚れから誘拐団に狙われることになります。ドレフュスは、過去の悪夢に苛まれながらも、ジャックと母マリアとの近しい関係が進展していく様子を目の当たりにし、彼らに協力することとなります。

ジャックは思いがけず指名手配され、危険な目に遭うものの、ドレフュスの指示に従い、父クルーゾーの知恵を借りることで王女救出の任務に挑むことになります。彼はパリへと向かって父の友人ボールズ博士と会い、変装道具を入手し、かつての父の従者ケイトーを助手として迎え入れます。

映画の特徴

本作『ピンク・パンサーの息子』は、前作『ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ』から10年後に制作されたものであり、シリーズのファンには懐かしいキャラクターたちも登場します。ドレフュスを演じるハーバート・ロムとケイトーのバート・クウォークは、これまでの作品でもおなじみの顔ぶれとして観客を楽しませます。また、クラウディア・カルディナーレも再登場し、ジャックの母親役を演じるなど、シリーズのファンに対するサービスも行われています。

しかし、この作品には一部のキャラクターに関する矛盾点も存在し、シリーズ過去作との関連が際立っています。例えば、クルーゾーの死に関する整合性や、登場人物たちの記憶と過去の記述が一致しないなどの点もあります。それでも、ジャックが父親がかつての名警部であることを知り、彼の足跡を辿る旅は感動的な要素を持っています。

映画の評価と影響

ロベルト・ベニーニは、当時は国際的にあまり知られていませんでしたが、のちに『ライフ・イズ・ビューティフル』でアカデミー賞を受賞するなど、俳優として名を馳せることとなります。この時期の制作にもかかわらず、映画は大ヒットには至らず、日本では劇場未公開でDVDもリリースされていません。しかし一部のビデオが流通したため、作品に対する関心は一定程度存在します。

最終的に『ピンク・パンサーの息子』は、クルーゾーの息子ジャックの成長と冒険を描きつつ、ドレフュスの人生にも新たな展開をもたらす作品として、シリーズの有終の美を飾ります。

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