ピンク・パンサー4

『ピンク・パンサー4』の魅力とストーリー

『ピンク・パンサー4』（Revenge of the Pink Panther）は、1978年に制作されたアメリカとイギリスの共同制作によるコメディ映画です。この作品は、シリーズの主人公であるクルーゾー警部をピーター・セラーズが演じ、彼の生前最後の作品として知られています。本作は、クルーゾー警部が香港を舞台に繰り広げる滑稽な冒険を描いています。

ストーリー概要

物語は、フレンチ・コネクションのボス、ドゥーヴィエがニューヨークのマフィアから取り引き停止を告げられるところから始まります。彼は自身の力を証明するため、重要人物であるクルーゾー警部の暗殺に乗り出します。しかし、クルーゾーは思わぬ形で生き延び、彼の存在を隠したまま捜査を開始するのです。

クルーゾーは車で捜査に出かけますが、途中で女装の強盗に襲われ、全てを奪われてしまいます。その後、クルーゾーの身代わりとなった強盗が誤って命を落としたことで、クルーゾーは死んだと誤解されてしまいます。これに対し、精神病院に入院中のドレフュス元主任警部は彼の死を知り、回復して再び捜査を担当することになります。

一方、クルーゾーは自宅に戻ると、使用人のケイトーがそこを売春宿にしていたことを発見します。クルーゾーはケイトーを助手に使いながら、ドゥーヴィエの元愛人であるシモーヌと協力し、彼女の命を守るために行動を開始します。物語は急展開を迎え、香港での麻薬取り引きに絡む事件へとつながっていきます。

クルーゾーは中国人に変装し、ドゥーヴィエに接近することを試みます。麻薬取り引きの現場での壮絶なカーチェイスは本作のハイライトの一つであり、香港市街を舞台に繰り広げられるアクションとコメディのセンスが光ります。クルーゾーとケイトー、ドレフュスの追走劇は、観客を飽きさせることなく、一気に引き込むものとなっています。

シリーズの位置付け

『ピンク・パンサー4』は、シリーズの第5作目にあたりますが、前作『ピンク・パンサー3』との直接的な繋がりはあまり見られません。シリーズ全体としてのユーモアやスタイルを維持しつつ、独自のストーリーが展開されることで、ファンからの支持を得ています。また、監督はブレイク・エドワーズ、音楽を手掛けたのはヘンリー・マンシーニです。

本作では、ケイトーの活躍が目立ち、彼がクルーゾーの助手として印象的な役割を果たします。これまでの作品ではあくまで使用人としての立場が強調されていた彼ですが、本作においてはクルーゾーの捜査に深く関与することで、シリーズに新たな風を吹き込むこととなりました。

結末と影響

映画の最後では、各キャラクターがそれぞれの運命をたどる中、クルーゾーは表彰されるシーンで締めくくられます。この穏やかなハッピーエンドは、シリーズファンにとって記憶に残る瞬間となりました。ドレフュスは追いかけてきたものの、クルーゾーに向けて無差別な銃撃を行い、再び精神病院に送られたのではないかと噂されています。

『ピンク・パンサー4』は、1970年代のマフィア映画のパロディとしても評価され、興行的にも成功を収めました。この後も新たな作品が企画されましたが、ピーター・セラーズの急死により続編は実現しませんでした。シリーズは後にクルーゾーの名を受け継ぐ他のキャラクターを登場させることで続いていきます。

この映画は、日本でも高い人気を誇り、6億1000万円の配給収入を記録しました。コメディー、アクション、サスペンスが絶妙に絡み合った『ピンク・パンサー4』は、クルーゾー警部の魅力を再確認させてくれる作品なのです。

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