ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ

ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ

『ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ』（原題: Curse of the Pink Panther）は、1983年に公開されたイギリス・アメリカのコメディ映画です。この映画は、シリーズの象徴的なキャラクターであるクルーゾー警部を演じていたピーター・セラーズの死後に制作された第7作目であり、同時にシリーズの集大成とも言える作品です。

ストーリーの概要

物語の舞台は中東の国ルガシュにある博物館で、そこから「ピンク・パンサー」と名付けられたダイヤモンドが盗まれるところから始まります。ダイヤモンド盗難の事件を追っていたクルーゾー警部は、犯人たちとチャンドラ伯爵夫人との不正な取引の現場に踏み込むのですが、そこで命を狙われる危険な状況に直面します。しかし、その危機から彼を救ったのは、夫人が見事に犯人を射殺した瞬間でした。

その後、1年間行方不明となったクルーゾーの捜索が続けられ、フランス政府は世界一の刑事をコンピュータによって選出し、彼にクルーゾーの捜査を指示します。しかし、クルーゾーにいつも悩まされてきたドレフュス主任警部は、クルーゾーを見つけたくない一心で世界で最も無能な刑事、ニューヨークのクリフトン・スレイを選択します。

本作でのスレイは、自信家であったクルーゾーとは対照的に気弱で、さまざまな事件に巻き込まれながらも奮闘します。彼がフランスへ旅立つ際、クルーゾーを見つけたくないマフィアは暗殺を試みますが、運に恵まれたスレイは危機を切り抜けていきます。さらに、彼がルガシュでの現場検証や、南仏での捜査を進める中で、クルーゾーの友人であるファントムことチャールズ・リットン卿と再会し、彼の手がかりを探ります。

物語が進むにつれて、スレイはクルーゾーについての誤った噂を耳にすることになります。クルーゾーが整形手術を受けて姿を変え、ダイヤモンド盗難の背後に何らかの陰謀があるとの誤解が広まり、彼が死んだとの虚偽の情報が世間に流布されます。実際には、クルーゾーはダイヤを盗まれてしまったのです。

キャストと制作背景

ピーター・セラーズの死によって、クルーゾー警部の役は彼の存在なしでは語れないものとなりました。彼の死後、本作は追悼的な意味合いも持ち、製作に当たる際には第1作目からの主要キャストが再登場するなど、過去を振り返る要素が多く含まれています。製作、脚本、監督はブレイク・エドワーズが担当し、音楽にはヘンリー・マンシーニが起用されました。

また、整形手術後のクルーゾーを演じたロジャー・ムーアは、サプライズキャストとして登場しますが、その正体は明かされないままであり、視聴者にとっては驚きの要素となりました。本作は複雑なプロットを持ちながらも、全体的にはクルーゾーシリーズの魅力を引き継ぐ作品として企画されました。

映画の放映後、作品は批評的に賛否が分かれ、高い評価を受けることはありませんでしたが、クルーゾーの名を冠した一連の物語の中で重要な位置を占めています。その後、本作を最後にシリーズは一時中断され、1993年には続編『ピンク・パンサーの息子』が公開されることとなります。クルーゾーのユーモアと冒険は今も昔も多くの人々の心に残る名作として評価されています。

もう一度検索