ピーコック級哨戒艦

ピーコック級哨戒艦：多国で活躍したイギリス生まれの哨戒艦

ピーコック級哨戒艦は、イギリス海軍がかつて運用していた哨戒艦です。このクラスの艦艇は、その後、アイルランド海軍とフィリピン海軍に売却され、各国の海洋安全保障に貢献しました。イギリス海軍時代は、香港の警備を主な任務としていましたが、売却後は、アイルランド海軍ではオーラ級哨戒艦として、フィリピン海軍ではジャシント級コルベットとして、それぞれの役割を担っています。

開発と特徴

ピーコック級は、もともとイギリス統治下の香港における海上警備を目的として建造されました。熱帯地域での運用を考慮し、全艦に空調設備が搭載されています。また、台風などの悪天候下でも活動できるよう、余裕を持った設計がなされました。5メートル級のエイヴォン・シーライダーSR5M複合型高速艇2隻を搭載し、海兵隊の分遣隊も乗船していたことから、海上での治安活動に非常に適した装備を有していました。

イギリス海軍での運用

1982年から1988年にかけて、計5隻が建造されました。これらは、第6哨戒艦戦隊に配備され、香港に駐留しました。イギリス海軍は、これらの艦艇を通じて、香港における軍事的プレゼンスを維持し、香港海洋警察や税関と協力して、密輸の阻止や捜索救難活動を展開しました。

アイルランドとフィリピンへの売却

2隻は、イギリス海軍で3年間運用された後、アイルランド海軍に売却されました。残りの3隻は、1997年に香港が中国に返還されるまで任務を続け、その後イギリスに帰還しました。当初は水産保護戦隊への配備も検討されましたが、最終的にはフィリピン海軍に売却されました。フィリピン海軍では、旧海上自衛隊の護衛艦「はつひ」を改修した「ラジャ・フマボン」と共に、主力艦として活躍しています。

フィリピン海軍での活動

フィリピン海軍では、ジャシント級コルベットとして運用されており、機関砲の増設などの改装も行われました。小型の艦対艦ミサイル「シー・スクア」の搭載も検討されましたが、設計上の問題から実現には至っていません。しかしながら、フィリピン海軍においても、その哨戒能力を最大限に活かし、地域の海洋安全保障に貢献しています。

まとめ

ピーコック級哨戒艦は、イギリスで誕生し、香港の海上警備を担った後、アイルランドとフィリピンに渡り、それぞれの海軍で独自の役割を果たしました。その設計と装備は、熱帯での運用や海上治安活動に適しており、各国の海洋安全保障に大きく貢献したと言えるでしょう。

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