ピーター・オトゥール

ピーター・シェイマス・オトゥール

ピーター・シェイマス・オトゥール（1932年8月2日 - 2013年12月14日）は、アイルランド出身の名優であり、その演技はシリアスなドラマから軽快なコメディまで幅広くこなすことで知られています。彼は特に映画や舞台における権力者の役に定評があり、長身と深い声を活かして数多くの印象的なキャラクターを演じてきました。

生い立ち

オトゥールはアイルランド自由国のゴールウェイ県に位置するコネマラ山地で生まれました。幼少期から演技に対する興味を持ち、1950年代初頭にはリーズの地元新聞社に勤める傍ら、アマチュア劇団に参加し演壇に立ちました。その後、イギリス海軍に従軍し、除隊後には奨学金を得てロンドンの王立演劇学校に入学します。ここでの訓練を経て、1955年にプロの舞台俳優としてデビューしました。

キャリアの始まり

オトゥールのキャリアは主に舞台からスタートしました。彼はシェイクスピアを中心に、数々の作品で演技を磨きました。映画デビューは1960年の『海賊船』で、その後も彼の評価は高まり続けます。1962年の映画『アラビアのロレンス』では、その長身と印象的な青緑色の目を生かし、トーマス・エドワード・ロレンス役を演じることになりました。この作品は彼を一躍スターダムへと押し上げ、彼は英国アカデミー賞の主演男優賞を獲得します。

映画界での活躍

オトゥールは、その後も様々な映画に出演し続けます。1968年にはキャサリン・ヘップバーンと共演した『冬のライオン』で、ヘンリー2世の役を演じてゴールデングローブ賞を獲得し、翌年の『チップス先生さようなら』でも同賞を受賞しました。彼は合計8回アカデミー賞にノミネートされながらも、受賞には至りませんでしたが、2003年にはアカデミー名誉賞を受賞し、その功績が認められました。

彼の演じるキャラクターは権力者や独裁者が多く、特に『ベケット』や『冬のライオン』ではヘンリー2世を連続して演じるなど、特定の役柄においても圧倒的な存在感を示しました。オトゥールは俳優活動において常に高い評価を受け続けましたが、2012年には公式に引退を発表します。

私生活

オトゥールは1959年に女優のシアン・フィリップスと結婚し、2人の娘ケイトとパトリシアをもうけましたが、1979年に離婚します。長女のケイトも女優として成功し、オトゥールの血を受け継いでいます。1983年には交際相手との間に息子を一人もうけています。また、1975年には悪性腫瘍による余命宣告を受けましたが、その後の手術を経て回復を果たし、多くのファンに希望を与えました。

死去と遺作

オトゥールは晩年、様々な病を抱え続けましたが、2013年12月14日にロンドンで息を引き取りました。享年81歳でした。彼の遺作となった映画『Diamond Cartel』は、亡くなった後の2017年に全米公開され、彼の演技キャリアに華を添えることとなります。

来日

また、オトゥールは1965年と1992年に日本を訪れ、ハウステンボスのテレビCMの撮影を行ったことでも知られています。

オトゥールの影響は、今なお多くの俳優に引き継がれ、その演技や個性的なキャラクター達は映画史に残る名作として語り継がれています。

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