ピーター・グレイブス

ピーター・グレイブス（Peter Graves, 1926年3月18日 - 2010年3月14日）は、アメリカ合衆国の俳優であり、映画やテレビドラマの世界でその才能を発揮しました。特に、テレビドラマ『スパイ大作戦』の主人公、ジム・フェルプス役で広く知られています。

ミネソタ州ミネアポリスで生まれたグレイブスは、本名をピーター・アーネスといい、イギリス系の父親とドイツ系の母親の間に育ちました。俳優のジェームズ・アーネスは彼の兄にあたります。16歳でラジオ・アナウンサーとしてのキャリアをスタートさせ、その後、空軍に2年間従軍。除隊後はミネソタ大学で演技を学び、その才能を開花させました。

1950年に映画デビューを果たし、『第十七捕虜収容所』（1953年）や『狩人の夜』（1955年）といった名作に脇役として出演する傍ら、『金星人地球を征服』（1956年）などの低予算SF映画では主演を務めました。1955年からはテレビドラマ『名馬フューリー』に主演し、1960年まで続くこのシリーズを通じて、テレビドラマ界でのスターとしての地位を確立しました。

1966年に始まったテレビシリーズ『スパイ大作戦』では、1967年の第2シーズンから2代目リーダー、ジム・フェルプス役として主演を務めました。1973年の第7シーズンまで続いたこのドラマは、世界中で放送され、グレイブスは国際的な知名度を獲得しました。また、この時期には映画『五人の軍隊』（1969年）で丹波哲郎とも共演しています。その後も、『フライングハイ』シリーズ（1980年～）や香港映画『皇帝密使』（1983年）でコミカルな演技を披露する一方で、大作ドラマ『戦争の嵐』（1983年）ではシリアスな科学者を演じるなど、その演技の幅広さを示しました。1988年には、『新スパイ大作戦』で再びジム・フェルプス役を演じ、往年のファンを魅了しました。

『スパイ大作戦』は、1996年にトム・クルーズ主演で映画『ミッション:インポッシブル』としてリメイクされましたが、グレイブスはこのリメイクに対して批判的な意見を持っていました。

2010年3月14日、カリフォルニア州パシフィック・パリセーズの自宅で、83歳で生涯を閉じました。

私生活では、1950年にジョーン・エンドレスと結婚し、3人の娘をもうけました。また、学生友愛会ファイ・カッパ・サイのメンバーでもありました。

その功績は数々の賞にも表れており、1971年には『スパイ大作戦』のジム・フェルプス役でゴールデングローブ賞を受賞。エミー賞にもノミネートされています。2009年10月30日には、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム入りを果たし、その輝かしいキャリアを称えられました。

ピーター・グレイブスは、映画、テレビドラマの両方で数多くの作品に出演し、その才能と人柄で多くのファンを魅了し続けました。

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