ファイサル2世 (イラク王)

ファイサル2世の生涯と治世

ファイサル2世ビン・ガージー（1935年5月2日 - 1958年7月14日）は、イラクの最後の国王であり、彼が治めた時代は波乱に満ちたものでした。ファイサル2世はバグダードに生まれ、父は第2代イラク国王ガージー、母は最後のヒジャーズ国王アリー・イブン・フサインの娘アーリヤでした。最初のイラク国王としてイラクで生まれたファイサルは、3歳で即位。彼の治世にはさまざまな事件が起こりました。

即位と政権の構造

1939年、父の死後、ファイサルが国王となり、叔父のアブドゥル＝イラーフが摂政を務めました。この状況下で、親英派と親独派の間に緊張が高まり、1941年には親独派がクーデターを起こしました。しかし、イギリス軍が介入し、再び占領する結果となりました。この事態はファイサルよりも政治的権力を持つ摂政の影響力を強めることとなりました。

政治的無関心と条約

成年に達したファイサル2世は1953年に親政を開始しますが、政治には無関心であり、権限を叔父のアブドゥル＝イラーフに委ねたままでした。これにより、政治の実行権は彼の背後にいるヌーリー・アッ＝サイードや他の重臣たちが支配していました。1958年のアラブ連合共和国の成立は、イラクとシリアの地政学的な緊張を高める契機となり、イラクとヨルダンの連携が模索されました。

暗殺と崩壊

しかし、このような動きは長続きせず、5ヶ月後の1958年7月14日に「7月14日革命」と呼ばれる軍事クーデターが発生しました。自由将校団のカーシム准将がイラク軍を率いてバグダードを占領、ファイサル2世は捕らえられ、家族と共に即座に暗殺されました。ファイサルの遺体は当初ラシード基地に埋葬されましたが、後にヨルダン王室の要望で改葬されました。この事件はイラク王制の終焉を象徴するものでした。

ファイサル2世の人柄

ファイサル2世は小柄で喘息を抱えていたものの、優れた人柄と品格で周囲から愛されていました。ジャズを好み、文化を楽しむ一方で、政治的権力を持たない状況に置かれていました。また、漫画『タンタンの冒険』のキャラクター、アブダラーのモデルにもなったと言われています。国際舞台での会談ではイギリス首相アンソニー・イーデンがナーセルの報告を受け、怒りに満ちた姿を目の当たりにすることもありました。

結論

ファイサル2世の短い生涯とその治世は、イラクの歴史において重要な一章を形成しています。彼の治世は、権力闘争や国際情勢の変化に翻弄され、悲劇的な最期を迎えました。彼の死後、イラクは新たな時代を迎え、王政は崩壊しました。この一連の出来事は、今日に至るまでイラクの歴史の中で語り継がれています。

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