アンソニー・イーデン

初代エイヴォン伯爵ロバート・アンソニー・イーデン

ロバート・アンソニー・イーデン（1897年6月12日 - 1977年1月14日）は、イギリスの政治家であり、第64代首相（在任：1955年4月7日 - 1957年1月10日）としての功績を持ちます。彼はまた、外交官としてのキャリアも積み、外務・英連邦大臣を歴任しました。最終的には軍の大尉の地位まで昇進しました。

経歴

前半生

イーデンは、イートン・カレッジやオックスフォード大学を経て、1914年に勃発した第一次世界大戦において従軍します。彼はイーペルの戦いに参加し、一時期は歴史に名を刻むアドルフ・ヒトラーと対峙していました。

若き政治家

1922年、保守党候補として下院選に出馬しますが落選。その後、1923年の選挙で当選し、政治キャリアをスタートしました。1924年からは内務大臣の秘書官を務め、1931年には外務次官に就任。この時期、イーデンのファッションセンスは特に注目され、愛用の帽子は外交官たちの間で人気を博しました。

身を置く環境の変化

1935年、スタンリー・ボールドウィン内閣で外務大臣として重責を担い、宥和政策に基づく外交を展開しましたが、その後対イタリア政策の対立から外相を辞任。その後はウィンストン・チャーチルの強硬策とも関わるようになります。

戦時内閣の外相

第二次世界大戦の勃発後、イーデンは内閣の一員として参加し、特にアメリカとの関係構築に力を入れました。中東政策にも関心が高まり、後に中東司令部の最高司令官に就任した時期もあります。

戦後の動き

戦後の1945年、保守党の副党首に就任し、1951年に政権復帰を果たすと再度外務大臣に。チャーチルが老衰のために指導力を失っていたことから、イーデンが外交政策の実質的な主導権を握るようになります。

首相就任とスエズ危機

1955年4月、チャーチルに代わり保守党党首、そして首相に就任します。しかし、1956年に発生したスエズ危機では、エジプトのナセル大統領による運河国有化に伴い、フランス・イスラエルと結託して運河の管理を維持しようとしました。結果としてアメリカとソ連から厳しい批判を受け、国際連合からも停戦を迫られました。この一連の事件は、イギリスの帝国としての威信を大きく損なわせる結果となります。

退陣とその後

健康上の理由から1957年に首相を辞任し、その後はウィルトシャーで静かに過ごしました。1961年にはエイヴォン伯爵の爵位を授与され、貴族院議員として活動しました。晩年は自身の回顧録を著し、1977年に亡くなりました。彼の死をもって、エイヴォン伯爵家は2代で廃絶しました。

著作と栄典

彼は回顧録を含む数冊の著書を発表し、またガーター勲章を受章しています。その政治人生はイギリスの歴史に強く刻まれています。

イーデンの人生は、彼の時代の複雑な外交状況と表裏一体であり、彼の行動はイギリスおよび国際社会において波紋を呼び続けました。

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