ファイネストアワー

ファイネストアワー

『ファイネストアワー』は、1989年に株式会社ナムコ（現バンダイナムコエンタテインメント）がアーケード向けに稼働させたアクションシューティングゲームです。同社が開発した高性能システム基板「SYSTEM II」を採用した作品として知られています。本作では巨大ロボットを操縦し、プレイヤーは「謎の傭兵X」となり、最新鋭機動兵器「シグナス」に搭乗して、時間内にステージの目標達成を目指します。

世界観とシステムの特徴

本作は、リアルロボットアニメが隆盛を極めた当時の時代背景を色濃く反映しています。『機動戦士ガンダム』シリーズなどに通じる、メカニカルな効果音や宇宙コロニーでの戦闘といった要素に、その世界観が表現されています。

ゲームシステムを支える「SYSTEM II」基板は、スプライトキャラクターの滑らかな動きに加え、画像を自由に回転・拡大できる高い表現力を備えていました。この技術は「オートエイム（自動ロックオン）」システムに活用されています。これによりプレイヤーは複雑な照準合わせから解放され、機体の移動や回避といった戦術的な操作に集中することが可能となりました。類似のシステムは先行作品にも見られましたが、『ファイネストアワー』はアーケードならではの専用ハードウェアを駆使し、より滑らかで迫力あるロボットアクションと高速戦闘の臨場感を実現しています。プレイヤーは、巨大な歩行兵器を意のままに動かし、戦場を駆け巡る独特のプレイフィールを体験できます。

ストーリーとゲームの目的

物語は西暦2500年代、宇宙コロニーが多数建造され、その独立が進む時代が舞台です。全宇宙の支配を目論む勢力が現れ、地球連合軍はその建造中の最終兵器「ゲルファウスト」の情報を入手します。この脅威を排除するため、類まれな戦闘能力を持つ「謎の傭兵X」に破壊任務が託されます。プレイヤーはこの傭兵として、シグナスを駆り、指定された目標の破壊、またはゴールへの到達を目指します。

ゲームプレイの仕組み

ゲームはサイドビュー視点で進行する全4ステージ構成（2周）です。操作は8方向レバーと、ショット、バーニア、マーカー変更の3ボタンで行います。

シグナスの武装は連射可能なビームガンが基本で、マーカーでロックオンした敵には自動的に射撃されます。複数の敵がいる場合は、マーカーボタンでターゲットを切り替えられます。機動力も高く、バーニアによる高速上昇、しゃがみ、ダッシュといったアクションを組み合わせることで、敵の攻撃を回避しながら迅速に移動したり、ヒットアンドアウェイ戦術を駆使したりすることができます。

画面下部には、機体の耐久力を示す「TEMPゲージ」、各ステージの「制限時間」、敵の位置を示す「レーダー」が表示されます。TEMPゲージはダメージで上昇し、制限時間内は無被弾で徐々に回復します。制限時間がゼロになると回復せず増加に転じ、最大になるとゲームオーバーです。ステージクリア時には残りの制限時間がボーナスとなります。

ステージの進行は、最初の3ステージはゴール到達でクリアですが、最終ステージはボス撃破が必須です。コンティニュー機能はありますが、最終ステージの一部では使用できません。

移植と評価

アーケード版のリリース後、本作は家庭用にも移植されました。2009年にはWiiのバーチャルコンソールアーケード、そして2023年にはアーケードアーカイブスシリーズとしてPlayStation 4|PlayStation_4版とNintendo Switch版が配信され、幅広いプラットフォームでプレイ可能となっています。

当時のゲーム雑誌のムック本では、特徴的な体力回復システムやリアルロボットアニメを意識した世界観について肯定的な評価が掲載されており、当時のプレイヤーにも印象を残した作品であることがうかがえます。

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