ファイヤーマンズキャリー

ファイヤーマンズキャリーとは

ファイヤーマンズキャリー（英語: Fireman's Carry）は、主に消防士が火災現場で怪我人を運ぶ際に使用する技術であり、自衛隊でも「消防士搬送」と呼ばれています。この技術は、人を抱え上げて肩に担ぐ動作を伴い、体勢としては相手をうつ伏せまたは正対させ、自分の首を相手の腋の下に入れ、肩の上に担ぎ上げます。

この技術の特長は、大腿四頭筋を主に使って相手を持ち上げる点にあります。従って、比較的軽々と相手を持ち上げることができ、迅速に移動することが可能です。しかし、高温や有毒な煙に包まれた火災現場では相手を高い場所に晒す危険が伴うため、その使用は限られた状況下において行われます。加えて、軍事訓練やライフセービングの文脈でも利用されています。

格闘技における利用

ファイヤーマンズキャリーは、レスリングやプロレスにおいても多くの派生技が開発されています。これらの技は、ファイヤーマンズキャリーの体勢から相手を投げる「飛行機投げ」や、相手を傾けてホールドする「ファイヤーマンズキャリー・ホールド」など、非常に多様です。

主な派生技

1. エアプレーン・スピン: ファイヤーマンズキャリーの体勢から回転しつつ相手を振り回す技で、平衡感覚を失わせる効果があります。1950年代には、レスリング界の名レスラー、ルー・テーズもこの技を使用していました。
2. バックフリップ: 相手を担いだ状態から後ろに倒れ込み、強い衝撃を与える技です。サモア出身のレスラーによく見られる手法です。
3. デスバレーボム: フェイントの要素を含む技で、担がれた相手が頭部から転がり落ちます。相手の頭をマットに叩きつける技術です。
4. ハリケーン・ドライバー: 担がれた相手を横方向に旋回させ、特定の形でマットに落とす技です。
5. GTS（Go To Sleep）: ファイヤーマンズキャリーで担いだ相手を上に放り投げ、落ちて来る際に膝蹴りを食らわせる技で、特にKENTAやCMパンクに知られています。

さまざまなバリエーション

ファイヤーマンズキャリーは、その基本形から多くのバリエーションが生み出されています。各レスラーは自らのスタイルや技術に応じて、この技をアレンジし、さらなる進化を遂げさせています。たとえば、AJスタイルズによる「ベナドリラー」は、この体勢からの即時反撃を可能にします。また、後藤洋央紀の「牛殺し」は、相手を担いだ際に特有の膝蹴りを加える技です。

こうした派生技は、試合をよりエンターテイメント性の高いものにし、観客の興味を引く要因となっています。

まとめ

ファイヤーマンズキャリーは、格闘技において非常に重要な基盤技術であり、さまざまな応用や派生技が存在します。消防士の直面する危険な状況に適したこの技は、他の職業的な領域やスポーツにも広がり、多くの選手たちがそれを利用して新たな技術を生み出しています。

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