ファタール (曲)

ファタール (Fatal)

「ファタール」は、日本のエンターテインメントシーンで多方面に活躍する中島健人と、個性的な音楽性を持つシンガーソングライターのキタニタツヤによって結成された音楽ユニット、GEMN（ジェム）が手掛けた楽曲です。この楽曲は、人気テレビアニメシリーズ『【推しの子】』の第2期オープニングテーマとして制作されました。

リリースと展開

本楽曲は、まずデジタル配信として2024年7月4日にSony Music Labels Inc.からリリースされ、多くの音楽ファンに届けられました。その後、同年9月4日にはCDシングルとしても発売され、フィジカルでのコレクションを求めるファンに応えました。CDは、特典となるBlu-rayが同梱された完全生産限定盤および初回生産限定盤、そしてCD単体の通常盤という3つの異なる形態で展開されました。市場での評価も高く、2024年12月4日付のオリコン週間ストリーミングランキングにおいて、累積再生数が1億回を突破するという、GEMNにとって初の快挙を達成しています。

プロジェクトの始動

このプロジェクトは、段階的にベールを脱ぐ形で進行しました。2024年5月26日、『【推しの子】』第2期オープニングテーマとして本楽曲が起用されることが発表されると同時に、GEMNの存在を示すティザーサイトが公開されました。この時点では、アーティストの正体は明かされず、サイト上には期待感を煽る5つのカウントダウンタイマーが表示されるのみでした。約一ヶ月後の6月30日になり、ついにGEMNのメンバーが公表されました。そのメンバーは、同年3月末にSexy Zone（現 timelesz）を卒業したばかりの中島健人と、気鋭のシンガーソングライターであるキタニタツヤという、意外性のある組み合わせでした。メンバー発表と同時に、「ファタール」のデジタル先行配信日が7月4日であることも明らかになり、リリースへの期待が一気に高まりました。

制作背景

楽曲の作詞・作曲を手掛けたキタニタツヤは、制作のオファーを受けた際の率直な心境を語っています。『【推しの子】』の第1期オープニングテーマであるYOASOBIの「アイドル」が社会現象ともいえる大ヒットを記録していたため、その次に続く楽曲を手掛けることに対して、最初は「めっちゃ嫌でした」と感じたと明かしています。しかし、自身が『【推しの子】』のアニメ第2期のエピソードを特に気に入っていることを公言しており、「好きな作品に音楽を寄せられるのは純粋にうれしいこと」であるため、最終的には喜んで引き受けたそうです。

楽曲の方向性についても言及しており、前作「アイドル」が星野アイという特定のキャラクターを中心に据え、ポップなサウンドで描かれていたのに対し、「ファタール」では作品全体の複数のキャラクターや、より深いテーマに焦点を当てる余地があったことが、逆に制作しやすかったと振り返っています。その結果、「『アイドル』とは真逆の、人の暗部に深く踏み込むような」内省的でシリアスな歌詞世界を構築することができたと語っています。

その他の展開

「ファタール」は、様々な形で波及しました。ゲームメディアミックスプロジェクト『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』では、『推しの子』とのコラボレーション企画の一環として、Roseliaのボーカリスト湊友希那（CV: 相羽あいな）によるカバーバージョンが2024年10月18日に追加収録されました。また、年末の大型ライブイベントにおいても披露される機会があり、Hey! Say! JUMP|Hey!_Say!_JUMPの知念侑李と伊野尾慧が、2024年12月31日に東京ドームで行われたライブ『Hey! Say! JUMP|Hey!_Say!_JUMP Special Live〜 JUMParty 2024-2025 〜』にて本楽曲をパフォーマンスしました。

「ファタール」は、その楽曲の持つ力強さと、『【推しの子】』という作品の世界観との親和性、そしてGEMNという予測不能なユニットの魅力によって、多方面から注目を集め、ヒットへと繋がった楽曲と言えるでしょう。

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