ファミリービジネス (映画)

『ファミリービジネス』（1989年）は、犯罪一家三代の物語を描いたアメリカ合衆国のクライムコメディ映画です。監督は、シドニー・ルメット。ヴィンセント・パトリックの同名小説を原作とし、パトリック自身も脚本を担当しています。ショーン・コネリー、ダスティン・ホフマン、マシュー・ブロデリックといった、当時を代表するスター俳優たちが主役を演じているにもかかわらず、映画批評家の評価は低く、興行収入も期待外れに終わりました。

物語の中心となるのは、マクマレン一家です。ジェシー・マクマレン（ショーン・コネリー）は、かつては腕利きの泥棒でしたが、今は引退して過去の栄光に浸っている筋骨隆々な男です。彼は息子のヴィト（ダスティン・ホフマン）を後継者として育てようとしますが、ヴィトは息子のアダム（マシュー・ブロデリック）が生まれたことで、犯罪組織から身を引こうと決意します。

年月が流れ、ヴィトは家族の犯罪歴を深く恥じるようになりました。息子をまともな人間に育てたいと願うヴィトは、幼いアダムを祖父ジェシーから遠ざけようとします。しかし、この試みは裏目に出てしまいます。ジェシーから隔離されたことで、アダムは逆に祖父の謎めいた魅力に惹かれ、心酔してしまうのです。

アダムは成長し、賢くハンサムな青年になります。奨学金を得て大学に進学し、順風満帆な生活を送っていました。そのため、アダムがジェシーから押し込み強盗の計画を持ちかけられたとき、ヴィトは大きな驚きと落胆を隠せません。ヴィトはアダムに計画の中止を警告しますが、アダムは聞き入れず、ヴィトの頬を平手打ちしてしまいます。この出来事が、アダムとヴィトの関係を決定的に悪化させ、アダムはジェシーとの関係をさらに深めていきます。

葛藤するヴィトですが、彼自身もまた、清廉潔白な人物ではありません。ジェシーの計画の詳細を聞けば聞くほど、ヴィトの心に眠っていた犯罪者としての本能が呼び覚まされ、その魅力に引き寄せられていくのです。最終的に、ヴィトはジェシーと共に強盗を実行し、アダムには見張り役をさせるという条件で、計画に加わることを決意します。

この映画は、豪華なキャストにもかかわらず、興行的には成功を収めませんでした。Rotten Tomatoes のレビューによると、16件の評論のうち、好意的評価は38%（6件）にとどまり、平均点は10点満点中5.1点です。Metacriticでも、17件の評論のうち、高評価が6件、賛否両論が11件で、平均点は100点満点中54点と、批評家の評価は芳しくありませんでした。しかし、犯罪一家をユーモラスに描いたこの作品は、家族の複雑な関係性や、世代間の葛藤を深く描いた、見応えのある映画となっています。

日本の公開情報としては、フジテレビの『ゴールデン洋画劇場』で1991年10月26日に初回放送され、その後VHS、DVDでも発売されています。これらの情報から、日本では比較的認知度の高い作品であると言えるでしょう。しかし、映画としての評価は決して高くなく、興行収入も期待を大きく下回ったことから、商業的な成功とは無縁であったと言えるでしょう。それでも、豪華キャストと、興味深いストーリー展開から、今もなお多くの映画ファンを惹きつけています。

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