ファミリー・インターナショナル

ファミリー・インターナショナルとは

ファミリー・インターナショナル（The Family International、TFI）は、1968年にアメリカ・カリフォルニア州でデビッド・バーグによって創設されたキリスト教系新宗教団体である。最初の名称は「神の子供たち」であり、「愛の家族」、「ファミリー」を経て、2004年から現在の名称に変更された。この団体は1960年代後半のジーザス・ムーブメントから影響を受け、ヒッピー文化の流れを汲んだ初期の信者が多くを占めていた。

成長と物議

ファミリー・インターナショナルは、救済や黙示的信仰、そして外の世界に対する「革命」とも言えるメッセージを掲げることで成長を遂げていった。この過程で、その活動が物議を醸すことも少なくなかった。特に1974年には、セックスを介して神の愛を表現し信者を増やす「浮気釣り」と呼ばれる手法が導入され、これは1987年に終了するまで続いた。

グループの創設者であり預言者と名乗ったデビッド・バーグは、1994年に他界するまで、信徒に向けて数多くの指導や助言を記した「モ・レターズ」を通じて意見を発信していた。彼の亡き後は、未亡人のカレン・ゼルビーが団体のリーダーとして活動を引き継いだ。

性に関する問題と調査

TFIの性に対する姿勢から、児童に対する性的虐待に関する噂が相次いだ。1990年代には司法当局や研究者による複数の調査が行われ、結果として「ファミリー・インターナショナルは子供たちにとって安全な環境である」との結論が示された。しかし、これらの調査によって過去のトラブルも再度注目され、団体に対する批判が強まることとなった。

1978年から1986年の間に発生した虐待について、TFIのリーダー陣は一部認め、以降、過度の罰や成人と未成年者の性的接触を禁じる方針を制定した。1988年以降に虐待の事実が認められた者は、組織から除名されることとなった。

リッキー・ロドリゲス事件

2005年には、リッキー・ロドリゲスが元メンバーを殺害した後に自ら命を絶つという事件が発生し、再びメディアの注目を集めた。この出来事は、元メンバーや現メンバーの双方に大きな衝撃を与えた。

有名な元・現信者

この団体には、様々な著名人が関わっている。たとえば、俳優のフェニックス四兄弟（リヴァー、ホアキン、レイン、サマー）は、両親が信者であったため、1972年から1978年までファミリー・インターナショナルの中で育ちました。リヴァーは1994年に教団について批判的な意見を雑誌エスクァイアで述べている。

また、ロックバンド「フリートウッド・マック」の初期メンバーや、アメリカのバンド「ガールズ」の元メンバーも関与しており、教団から脱会した経験を関する著書も存在しています。

日本における活動

日本では1972年に活動を開始し、1990年代初頭にはメディアに取り上げられることで注目を集めた。その中には児童虐待や乱交に関する報道が多く含まれ、視聴者の間に強い印象を残した。阪神・淡路大震災の際には、救援ボランティアとしての活動を行い、5年後の2000年まで続けられた。

会員向けの雑誌『アクティベート』が発行され、創設者であるデビッド・バーグの教えが紹介されたが、2010年に休刊となった。

研究と批判

反カルト団体であるFREECOGが1971年に設立され、以降、様々な調査や発表が行われてきた。特に1990年代には、TFIの教義や活動が問題視され、批判の対象となることが多かった。

メディアでの取り上げ

TFIは、ドキュメンタリー映画やテレビドラマでも取り上げられており、その中には教団の実態や過去の事件に関するものが含まれています。2007年には、ノア・トンプソンによるドキュメンタリー『Children of God: Lost and Found』が制作され、興味を引きつけました。

終わりに

ファミリー・インターナショナルは、その独特な教義や活動から賛否が分かれる団体であり、過去のトラブルも今なお影響を及ぼしています。この複雑な歴史は、新宗教やカルトの研究において重要な事例となっています。

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