ファミリー・プロット

『ファミリー・プロット』（Family Plot）

『ファミリー・プロット』は、1976年に公開されたアメリカのサスペンス・コメディ映画であり、名監督アルフレッド・ヒッチコックの最後の作品として知られています。本作は、ヴィクター・カニングの小説『階段』を原作にし、カレン・ブラックやブルース・ダーンといった実力派俳優たちが出演していることで取り上げられることが多いです。邦題は『ヒッチコックのファミリー・プロット』というもので、タイトルの「プロット」は、実は「墓地の一区画」を意味しています。これがストーリーの重要な要素となっているのです。

ストーリー概要

物語はインチキ霊媒師のブランチ（バーバラ・ハリス）が、彼女の恋人ジョージ（ブルース・ダーン）の助けを借りて金銭を得る場面から始まります。ブランチは、ある裕福な女性、ジュリア・レインバード（キャスリーン・ネスビット）から依頼を受けることになります。彼女は未婚の妹が産んだ子供を養子に出し、その子供に全財産を譲ろうとしていました。ジュリアは子供を見つけ出せば1万ドルを報酬として渡すと告げます。

この提案を受けて、ジョージは当初は断るものの、1万ドルの報酬に動かされて子供探しを始めます。しかし、調査を進める中で、子供の名が「エドワード・シューブリッジ」であることが分かり、さらに彼が火事で死亡したことを知ります。その墓が新しいことでさらに疑念を抱いたジョージは、調査を続行し、エドワードの死亡証明に関与しているマロニーという男の存在を突き止めます。

ジョージはその後、マロニーが街の宝石商アダムソン（ウィリアム・ディヴェイン）を訪れるのを目撃します。しかし実は、アダムソンはエドワードそのもので、彼はマロニーと共謀し、義父母を火事に見せかけて殺害していたのです。アダムソンはジョージの正体を探ろうと企みますが、彼の妻フラン（カレン・ブラック）と共に行動を続けるうちに、ブランチのインチキ霊媒があまり危険ではないと判断します。

一方、ブランチは司教のウッド（ウィリアム・プリンス）がエドワードの過去を知っていることをつかみますが、司教はエドワードとフランに誘拐されてしまいます。彼らは身代金として宝石を要求する一方、ジョージもブランチを救うための行動を開始します。

サスペンスの中のコメディ

この作品は、サスペンスだけでなく、巧妙に隠されたコメディ要素を持っています。ブランチが突如として霊的な覚醒を果たし、隠された宝石を指し示す場面などは、これまでの緊迫した状況を緩和する役割を果たしています。映画の最後で、ブランチは観客に向けてウインクを送るシーンは、ヒッチコックの特有のユーモアが感じられる瞬間です。

評価と影響

この作品は、批評家たちからも高評価を受けています。Rotten Tomatoesでは、92%の高評価を得ており、その理由としてはヒッチコックの独特な視点とストーリー展開が評価されています。また、脚本は1977年のエドガー賞を受賞し、その質の高さが証明されています。

終わりに

『ファミリー・プロット』は、ヒッチコックの集大成ともいえる作品であり、サスペンスとコメディが見事に融合した物語です。観る者を引き込む展開と意外な結末が織り成す魅力を持ち、多くの人々に愛される作品となっています。その独特なスタイルを堪能することで、ヒッチコックの真骨頂を感じることができるでしょう。

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