ファレーズ・ポケット

ファレーズ・ポケットの戦い

ファレーズ・ポケット（英: Falaise pocket、仏: Poche de Falaise、独: Kessel von Falaise）は、1944年8月12日から21日まで行われた、ノルマンディー上陸作戦の重要な戦闘の1つです。この戦いは、西側連合軍によって包囲されたドイツ第7軍と第5装甲軍が、その包囲を突破するために戦ったものであり、その特徴的な地形からファレーズ・ギャップとも呼ばれました。

戦闘の背景

ノルマンディー上陸作戦の計画が進む中、連合軍の次の目標はドイツ軍が占拠するシェルブールとカーンでした。しかし、連合軍の進撃はドイツ軍の抵抗に遭い、悪天候も影響して進行が妨げられます。シェルブールはアメリカ第VII軍団による攻撃の結果、6月末に占領されましたが、カーンについては7月20日まで激しい戦闘が続きました。イギリス軍とカナダ軍は協力し、最後にはカーンを占領しましたが、ドイツ軍の防衛態勢は依然として堅固でした。

連合軍のバーナード・モントゴメリーは、ドイツ軍の戦力を引き延ばす戦術を用い、その隙間を突くことを狙いました。この計画に基づき、アメリカ軍のオマール・ブラッドリーによるコブラ作戦が敢行され、進撃が続く中でドイツ軍の防衛線は決定的に崩れました。その後、連合軍は猛然と南下し、8月8日にはル・マンを占領します。

リュティヒ作戦とトータライズ作戦

ドイツ軍は連合軍の進撃に対抗するため、リュティヒ作戦を発動しました。これはモルタン周辺での反撃を試みるものでしたが、連合軍の暗号解読によってその動きは事前に察知され、結局作戦は失敗します。さらに、戦闘が続く中で、連合軍はファレーズの北の高地を目指し、カナダ第1軍によるトータライズ作戦を展開しました。この作戦もドイツ軍の強固な防衛の前に苦戦し、大きな成果を上げることはできませんでした。

包囲の過程と戦闘の激化

8月12日、連合軍の攻撃が本格化し、カナダ軍は北側から進撃し、ファレーズへの道を開くために多大な努力を重ねました。そして、8月17日までには連合軍の包囲網はほぼ完成の見込みを持つようになりました。連合軍の司令官は脱出を試みるドイツ軍の動きを封じるため、各部隊を怠らず監視し続けます。

しかし、ドイツ軍も必死の反撃を続けました。カナダ軍のポーランド第1機甲師団が重要な高地を守りながら、ドイツ軍の動きを防ごうと奮闘していました。8月21日には、ドイツ軍約50,000が包囲され、数にしても恐るべき損失が出たことが見込まれます。

戦闘の結末と影響

ファレーズ・ポケットの戦いは、ドイツ軍にとって重篤な敗北でした。連合軍はこの勝利によってパリへの進撃路を確保し、短期間で連合軍の戦力を再編成することが可能になりました。包囲内のドイツ軍は多くの兵士が捕虜となり、戦車や武器などの重装備も失っていきます。

この戦闘でのドイツ軍の損失は、歴史的にみても非常に重大です。報告によれば、包囲内では約80,000から100,000の将兵が閉じ込められ、戦死者や捕虜が数万にのぼるとされています。それに対して、連合軍の犠牲者も少なくありませんが、戦争の行く末に大きな転換をもたらしました。

8月25日、連合軍はパリを解放し、セーヌ川西側にはもはやドイツ軍の影はありませんでした。ファレーズ・ポケットの戦いは、連合軍のオーバーロード作戦の成功を確かなものにし、同時にドイツ軍にとっては終わりの始まりを告げることとなったのです。

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