コブラ作戦

コブラ作戦（Operation Cobra）

コブラ作戦は、1944年7月25日から31日にかけて展開されたアメリカ第1軍の攻勢作戦で、連合軍によるノルマンディ上陸後の局面転換を図った重要な作戦です。この攻撃は、ドイツ軍がイギリス軍およびカナダ軍のグッドウッド作戦に気を取られている隙を突く形で行われました。アメリカ軍は、ドイツ軍の防御態勢が整わない状況を利用し、迅速に前線を突破することを目指しました。

作戦の背景

1944年6月6日に連合軍はノルマンディ上陸に成功しましたが、その後の内陸進撃はスムーズには進みませんでした。そのため、シェルブールやカーンといった目標地点の占拠に向けた戦力再配置が急がれていたのです。特にカーンは、連合軍にとっての戦略的要地であり、ここを占領することが進撃の足がかりとなると見なされていましたが、ドイツ軍の激しい抵抗により、作戦は遅延していました。

コブラ作戦の立案

コブラ作戦の発案者には諸説ありますが、この計画は6月中旬に立てられ、連合軍はドイツ軍の状況を把握するために通常の通信傍受やウルトラ情報を活用しました。アメリカ第1軍のオマール・ブラッドレー中将とその部下たちは、7月中旬までには作戦計画を具体化し、ドイツ軍の注意を別の戦域に引きつける必要があると認識しました。

作戦の実施

コブラ作戦は、最初の爆撃攻撃が終了した後、7月25日に開始されました。アメリカ空軍は、数千機の戦闘機と爆撃機を用いて、敵陣地へ絨毯爆撃を行いました。その後、地上部隊が突破に向けて前進しましたが、初日からの進捗は遅々としていました。しかし、7月27日までにドイツ軍の抵抗は劇的に低下し、アメリカ軍は前線での優位性を築くことに成功しました。

戦局の変化

この作戦は、ノルマンディの厳しい消耗戦から、機動性の高い戦闘へと転換する契機となりました。アメリカ軍は、ボカージュ地帯を通過し、ブルターニュ地方への進撃を果たしました。ドイツ軍はこの時点での兵力が不足しており、作戦の効果により防御線が崩壊しました。

作戦成果と影響

コブラ作戦の成功は、その後の連合軍の勝利を決定づける要因となりました。作戦後、連合軍は急激に進撃し、最終的にはセーヌ川まで到達しました。この結果、ドイツ軍の構造的な撤退や兵力の再配置が余儀なくされ、戦局は連合軍のペースにシフトしました。さらに、ファレーズ・ポケットが形成され、その中には脱出を試みたドイツ兵が取り残されました。

総括

コブラ作戦は、連合軍のノルマンディにおける大型攻撃の中でも、特に戦局転換に寄与した重要な作戦でした。アメリカ軍の戦術、特に航空支援の有効性が実証されたことも、今後の戦闘戦略に大きな影響を与えることとなりました。8月の段階では、連合軍全体がセーヌ川まで急速に前進し、ドイツ軍に対する決定的な勝利を収めることができました。

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