ファロ (トランプゲーム)

ファロの概要

ファロは、トランプを用いた賭博の一種で、非常にシンプルなルールに基づいています。ルーレットに似た、このゲームは、純粋に偶然の要素が強く、特に18世紀から19世紀にかけて欧米で非常に人気がありました。カサノヴァが愛したゲームとしても知られ、現在はブラックジャックやバカラなどの新しいゲームに押されてその人気は衰えていますが、ファロの名は多くの文学作品にも残されています。

歴史的背景

ファロは、17世紀の終わりにフランスに登場しました。その起源は、イタリアから伝わったと言われるバッセッタというゲームにあります。フランスではこのゲームが「ファラオン」、つまり「ファラオ」と呼ばれており、当時のフランスのトランプでも王（キング）がファラオの姿で描かれていました。19世紀中頃には、アメリカにも伝わり、「ファロ」と短縮されて広まりました。この時期、ファロは特にカジノにおける主要なゲームとして知られていました。

ゲームのルール

ファロのゲームには、ひとりのバンカーと複数の客が参加します。通常、52枚のトランプを用いて、加えてスペードの13枚を使い、賭けるためのレイアウトを作ります。参加者は、レイアウトされたカードの中から好きな1枚にチップを置きます。

ゲームの流れは次のようになります。バンカーは52枚のカードをシャッフルし、客の一人にそれをカットさせます。次に、そのカードを裏向きの山札として自分の前に置きます。バンカーは山札の一番上のカードをソーダとして、これは勝負に影響を与えないカードとして扱います。

次に、バンカーは2枚のカードを表向きにします。一枚目のカードは右に、二枚目のカードは左に置き、これをターンと呼びます。右のカードで賭けていた客は負け、チップを失いますが、左のカードで賭けていた客は勝ち、賭け金と同額をバンカーから得ます。もし両方のカードのランクが等しい場合、賭け金の半額がバンカーに渡るスプリットというルールも存在します。

さらに進んで

ゲームは山札が尽きるまで続き、その間には賭け金の追加も可能です。そして、残りのカードが3枚になった時にはその順序を賭けることができ、正解すれば賭け金の4倍が配当されます。また、特別なトークンである「銅貨」をカードの上に置くことで勝負の左右の意味を逆転させるルールもあります。

ファロと数学

ファロの確率に関しては、数学者たちによる興味深い研究がされています。ダニエル・ベルヌーイやオイラーがこのゲームに関する論文を執筆しており、バンカーの有利さについて興味深い議論が展開されています。

文学におけるファロの影響

ファロは多くの文学作品にも登場し、特にロシアの文豪プーシキンによる『スペードの女王』では、ファロの勝負が物語の中心に据えられています。この作品では賭けを通じて人物の運命が描かれ、ファロのルールが物語を引き立てています。他にも、カサノヴァの自伝やトルストイの『戦争と平和』など、様々な作品においてファロが言及されています。

以上のように、ファロはその歴史やルール、文学への影響を通じて、時間を超えて多くの人々に親しまれてきたゲームです。

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