ファンシィダンス

漫画『ファンシィダンス』について

『ファンシィダンス』は、岡野玲子による日本の漫画作品で、1984年から1990年にかけて『プチフラワー』で連載されました。1989年には第34回小学館[[漫画賞]]を受賞しています。また、この漫画を原作とした映画も制作され、多くの人々に親しまれています。

作品の舞台とあらすじ

物語の主人公は、ロックバンドのボーカルを務める塩野陽平。彼は実は寺の跡取り息子であり、寺を継ぐために禅寺での修行生活を送ることになります。恋人の赤石真朱を後に残し、厳しい修行で知られる明軽寺に入山した陽平は、剃髪し、今までとは全く異なる僧侶の世界に戸惑いながらも、その独特な日常に次第に馴染んでいきます。

修行生活の中で、陽平は修行僧のリーダーである首座を命じられ、修行僧同士の問答戦「法戦式」にも挑みます。修行を終え下山した陽平は、真朱との再会を果たしますが、寺での生活を通して価値観が変わってしまった陽平は、外の世界になじめず、真朱との間に溝ができてしまいます。

主要な登場人物

塩野 陽平 (しおの ようへい)
ロックバンドのボーカルであり、寺の跡取り息子。飄々とした性格で、どんな状況でも楽しむことをモットーとしています。修行を通して、様々な出来事に関わり、成長していきます。
赤石 真朱 (あかし まそほ)
陽平の恋人。クールで美人な女性で、陽平が修行に出ている間に社会人になります。陽平との価値観の違いに悩み、別れを決意します。

イメージ・アルバム

連載中の1988年には、イメージ・アルバム『雲遊歌舞』がリリースされました。手塚真がプロデュースを担当し、伊武雅刀やサエキけんぞうなど、多彩なアーティストが参加しています。

映画版『ファンシィダンス』

1989年には、周防正行監督によって映画化されました。周防監督にとっては初の一般向け映画であり、本木雅弘が主演を務めました。映画では、陽平の法戦式までが描かれており、原作とは異なる結末を迎えます。

撮影にあたっては、本木雅弘をはじめとする多くの出演者が実際に剃髪し、北陸地方の寺院でロケが行われました。本木雅弘は、シブがき隊のイメージを覆す僧侶役を見事に演じきり、俳優としての評価を高めました。

映画版の主なスタッフ

監督・脚本: 周防正行
プロデューサー: 桝井省志
音楽: 周防義和
主題歌: プリンセス プリンセス「恋に落ちたら」

映画版の主なキャスト

塩野陽平: 本木雅弘
赤石真朱: 鈴木保奈美
塩野郁生: 大沢健
笹木英峻: 彦摩呂
信田珍来: 田口浩正
北川光輝: 竹中直人
晶慧：甲田益也子

映画版に登場する個性豊かな人々

映画には、陽平の修行仲間や寺の古参の僧侶、そして陽平の友人など、個性豊かな人々が登場します。
塩野郁生：陽平の弟で、要領の良いちゃっかり者。
笹木英峻：関西弁で話す陽平の同期で、逆玉の輿を狙う。
信田珍来：食いしん坊で少しだらしない同期。
北川光輝：古参の中心人物で、後輩に厳しく当たる。
晶慧：位の高い僧侶で、修行僧に優しく接する。
寿流：位の高い僧侶で、晶慧をライバル視している。
南拓然住職：明軽寺の住職で、風変わりな人物。
アツシ：陽平のバンド仲間で、食品会社に勤務。
ミチコ、たまこ、かなこ：真朱の友人たち。
* マドンナ：古参たちのアイドル的存在。

映画のロケ地と劇中歌

映画のロケは、山梨県甲州市の放光寺、石川県金沢市の大乗寺、富山県南砺市の瑞泉寺などで行われました。

劇中では、東京スカパラダイスオーケストラが演奏する「若者たち」や「行雲流水」などの楽曲が使用されています。

まとめ

『ファンシィダンス』は、寺の跡取り息子という立場でありながらロックバンドを愛する主人公が、禅寺での修行を通して成長していく姿を描いた物語です。コミカルな描写の中に、仏教の教えや人間の心の葛藤を織り交ぜ、多くの読者や観客を魅了しました。漫画、映画ともに、その独特の世界観と魅力的なキャラクターが評価され、今もなお愛されています。

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