ファンタシースターII 還らざる時の終わりに

『ファンタシースターII 還らざる時の終わりに』は、1989年 3月21日にセガから発売されたメガドライブ用ロールプレイングゲームです。ファンタシースターシリーズの初期4部作における第2作目にあたり、前作『ファンタシースター』のスタッフであった青木千恵子氏のシナリオ設定を基に、当初はマークIII用ゲームとして企画されました。しかし、セガがメガドライブをリリースしたことに伴い、本作もメガドライブ初期の目玉ソフトとして発売されることになりました。発売日厳守というプレッシャーの中、ハードウェア変更という大きな出来事を乗り越え、わずか半年間という短期間で制作された作品です。

ゲームの特徴

本作は、メガドライブRPGの中でも初期4部作の中でも特に難易度が高いことで知られています。広大なダンジョン、レベル上げに必要な経験値の多さ、そして多くのダミーから本物を見つけ出すイベントなど、プレイヤーを挫折させる要素が多くありました。しかし、その難易度の高さが、クリアしたときの達成感と、ゲームへの深い没入感を高めたとも言えるでしょう。

戦闘は、フィールド上で敵が見えない状態で確率でエンカウントする形式で、エンカウント率もやや高めです。戦闘はターン制で、攻撃、テクニック、アイテム、防御、撤退の指示が出せます。敵は最大2種類同時に出現しますが、攻撃対象は敵の種類までしか選択できず、個別の敵を狙うことはできません。パーティーは最大4人編成で、主人公とネイは固定、残りの2人は6人の仲間から自由に選択できます。ただし、途中でネイが離脱するため、それ以降は3人を自由に選ぶことになります。死亡したキャラクターは、クローンラボで蘇生させることが可能です。また、ポーズ機能が搭載されており、スタートボタンで一時停止、Bボタンでスローモーション、Cボタンでコマ送りといった操作もできます。

アルゴル太陽系の星々

物語の舞台となるアルゴル太陽系には、3つの惑星が存在します。

パルマ星: アルゴル太陽系の第一惑星で、政治経済の中心地です。前作では物語の中心でしたが、本作では物語中盤で消滅してしまいます。
モタビア星: アルゴル太陽系の第二惑星で、かつては砂漠でしたが、マザーブレインによって緑豊かな土地に変わりました。本作では物語の中盤まで、この星が主な舞台となります。
デゾリス星: アルゴル太陽系の第三惑星。かつては鉱業が盛んでしたが、坑内事故で衰退。物語の後半はこの星で展開されます。

海外版との違い

本作は日本国外でも発売されており、英語版（北米・欧州向け）とポルトガル語版（ブラジル向け）が存在します。海外版では、キャラクター名や音源ドライバなどに違いが見られます。

キャラクター名の変更: 海外版では、ユーシスがRolf、ルドガー・シュタイナーがRudolf "Rudo" Steiner、アンヌ・サガがAmy Sageなど、一部のキャラクター名が変更されています。
音源ドライバの変更: 海外版では、BGMのニュアンスが国内版と若干異なり、海外版の方がおとなしめになっています。
ガイドブックの添付: 海外版には、攻略本の内容をまとめた110ページのガイドブックが付属しています。

ストーリー

前作から千年後の世界が舞台です。アルゴル太陽系は、マザーブレインと呼ばれる巨大コンピュータによって管理され、人々は豊かな生活を送っています。主人公は政府のエージェントとしてバイオモンスターの発生原因を探るうちに、悲壮感漂う展開へと進んでいきます。物語はモタビアとデゾリスの二つの惑星を舞台に展開します。

登場人物

パーティーメンバー

主人公（ユーシス）: モタビア州政府のエージェント。両親を亡くした過去を持つ。グランツ系とメギドのテクニックが使え、剣を扱います。
ネイ: バイオモンスターと人間の細胞を掛け合わせて生まれた少女。クローを武器とします。物語中盤で命を落とします。
ルドガー・シュタイナー: 元軍人のハンター。テクニックは使えないが高いHPと防御力を持つ。大型銃が得意です。
アンヌ・サガ: 新米の医者。回復系のテクニックを得意とし、メスや薬品を発射する銃を使います。
ヒューイ・リーン: モタビア大学の生物学者。バイオモンスターに有効なテクニックを覚えます。
アーミア・アミルスキー: 女性のカウンターハンター。スライサーやムチを使います。
カインズ・ジ・アン: ジャンク屋。機械に有効なテクニックを使います。
シルカ・レビニア: 泥棒。レアアイテムを盗んでくることがあります。

その他の登場人物

モタビアの総督: 主人公の上司で、主人公を高く評価しています。
主人公の友達: モタビア政府に勤務し、主人公の荷物を預かってくれます。
モタビア政府司書: 知的な外見の女性で、ストーリーに関する情報を教えてくれます。
ダラム: ネイを殺そうとした人物。娘を助けるために強盗をしていました。
ティム: ダラムの娘。拉致され、その後悲劇的な運命をたどります。
ネイ＝ファースト: ネイのオリジナル体であり、バイオモンスターを生み出していました。
アーミーアイ: パルマ政府の警察ロボット。主人公らを拘束しに来ます。
タイラー: パルマ出身の宇宙海賊。前作のタイロンの子孫です。
ルツ: 約千年前から眠っていた超能力者。物語の重要な案内役となります。
ダークファルス: 前作のラスボス。
* マザーブレイン: アルゴル太陽系を管理する巨大コンピュータ。本作における黒幕です。

他機種版

本作は携帯アプリ版にも移植されており、漢字が追加されたり、アイテムの説明が詳細に表示されるなどの変更が加えられています。

スタッフ

本作の開発には、青木千恵子氏（ライター、ディレクター）、中裕司氏（プロデューサー、プログラマー）など、多くのスタッフが携わりました。

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』や『メガドライブFAN』など、当時のゲーム誌でも評価されており、2重スクロールなど、高い技術力が評価されています。また、戦闘シーンにおけるアクションや、奥行きのあるダンジョン表現も好評でした。