ファン・パラシオス

ファン・パラシオス（Juan Ramón Palacios Pérez）は、1980年 8月31日生まれ、ニカラグアのマナグア出身の元プロボクサーです。力強いパンチとアグレッシブなスタイルで知られ、世界ボクシング評議会（WBC）および世界ボクシング協会（WBA）の世界ミニマム級で暫定王座を獲得しました。

プロキャリア初期から地域王座獲得

パラシオスのプロキャリアは1999年2月27日に始まり、デビュー戦を5回TKOで勝利しました。その後も快進撃は続き、続く3戦も全て初回KOという圧倒的な内容で連勝を重ねます。しかし、プロ入り5戦目となった空位のWBAフェデセントロミニマム級王座決定戦では、キャリア初の敗北を経験しました。

この敗戦から立ち直り、プロ入り6戦目となる2000年3月には、ニカラグア国内のミニマム級王座を獲得。国内王者として地歩を固めます。2000年から2001年にかけては、無効試合を挟みながらも6連勝を記録し、着実に戦績を積み上げました。2002年5月には階級をライトフライ級に上げ、空位のWBCラテンアメリカライトフライ級王座を獲得し、地域タイトルも手にしています。

初の世界挑戦と躍進

2002年10月19日、パラシオスはキャリアで初めて世界タイトルマッチの舞台に立ちます。相手はWBC世界ミニマム級王者ホセ・アントニオ・アギーレ（メキシコ）。王者の牙城に挑みましたが、結果は惜しくも判定負けに終わりました。

この世界初挑戦での敗北を糧に、パラシオスはさらなる飛躍を遂げます。2003年から2007年にかけて、彼は驚異的な12連勝を達成し、再び世界ランキングの上位に進出。その強さと安定感を示し、二度目の世界挑戦の機会を強くアピールしました。

二度の世界暫定王座獲得

長きにわたる連勝が実を結び、2008年8月2日、パラシオスはプエルトリコで開催されたWBC世界ミニマム級暫定王座決定戦に出場します。対戦相手は世界ランク3位のオマール・ソト（プエルトリコ）。この重要な一戦で、パラシオスは10回TKO勝利を収め、ついに自身初となる世界タイトル、WBC世界ミニマム級暫定王座を獲得しました。

暫定王者となったパラシオスは、同年11月に中国・成都で行われたWBC総会のイベントとして開催された初防衛戦に臨みます。日本の三澤照夫を相手に7回TKOで勝利し、暫定王座の初防衛に成功。さらに2009年6月にはメキシコシティでエリック・ラミレスを相手に2度目の防衛戦を行い、こちらも10回TKO勝ちを収め、再び暫定王座を守りました。

しかし、同年11月27日、パラシオスは正規王者オーレイドン・シスサマーチャイ（タイ）との王座統一戦に臨むことになります。敵地タイでの大一番。パラシオスは王者シスサマーチャイを相手に一歩も引かない善戦を見せますが、試合中に発生した偶然のバッティングにより減点を受けるなど、不運も重なりました。試合は判定にもつれ込み、ジャッジの採点もドローが一人、僅差で差がつくものとなり、惜しくも判定負けを喫しました。この結果、約1年3ヶ月保持したWBC暫定王座は、シスサマーチャイの正規王座に吸収される形で消滅しました。

WBC暫定王座を失効してから約1年半後、パラシオスは再び世界タイトルのチャンスを掴みます。2011年5月21日、メキシコにてWBA世界ミニマム級暫定王者サミー・グティエレス（メキシコ）と対戦。この試合も激しい攻防となり、最大4点差がつくほどの接戦となりましたが、パラシオスはフルラウンドを戦い抜き、3-0の判定で勝利。これにより、彼はWBCに続いてWBAでもミニマム級の暫定王座を獲得し、この階級で二つ目の世界暫定タイトルを手中に収めました。

王座剥奪とキャリアの終盤

WBA暫定王者となったパラシオスでしたが、そのタイトルは長く保持できませんでした。2011年8月13日に行われた初防衛戦でアルマンド・トーレス（メキシコ）と対戦し、試合では9回TKO勝利を収めたにもかかわらず、前日計量で規定体重をクリアできず失格となっていたため、暫定王座は試合結果に関わらず剥奪されるという異例の事態となりました。

暫定王座剥奪後、パラシオスは再び階級をライトフライ級に上げます。2012年5月、母国ニカラグアでのライトフライ級8回戦でネリス・エスピノサと対戦しましたが、結果は1-1の採点による引き分けとなり、転向初戦は白星で飾ることはできませんでした。

その後、リングから遠ざかっていましたが、2015年3月に約3年ぶりとなる現役復帰が報じられ、ギレルモ・オルティスとの対戦が内定したと伝えられています。

キャリアを通じて多くのKO勝利を挙げ、二つの主要団体で世界暫定王座を獲得したファン・パラシオスは、ニカラグアを代表するボクサーの一人としてその名を刻んでいます。
※最終的なキャリアの状況については、情報が限られているため、報じられた内容までを記載しています。

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