ファースター

ジョージ・ハリスンのシングル「ファースター」は、1979年7月13日にリリースされました。この楽曲は、同年のアルバム『慈愛の輝き』からイギリス限定シングルとして発売されました。

概要

「ファースター」は、残念ながらチャートインを果たすことはできませんでしたが、ジョージ自身がボーカル、ギター、そしてベースを演奏している点が特徴です。また、初回盤はピクチャーディスク仕様となっており、コレクターズアイテムとしての価値も持っています。

ジョージ・ハリスンは、1977年には曲作りを後回しにしてF1観戦に出かけるほど、大のF1ファンでした。その情熱が「ファースター」には色濃く反映されており、楽曲にはF1カーのエンジン音などの効果音が効果的に使用され、まるでF1賛歌のような雰囲気を醸し出しています。しかし、ジョージ自身は、この曲を単なるレースの歌としてではなく、「人生の比喩」として捉え、自伝の中で「レースに限定していない」「どんな職業でも当てはまる」とコメントしています。

アルバム『慈愛の輝き』のブックレットには、「ファースター」がジャッキー・スチュワートとニキ・ラウダにインスパイアされた楽曲であることが明記されています。曲名自体もジャッキー・スチュワートの著書に由来しています。さらに、ジャッキーとニキの二人はミュージック・ビデオにも出演しており、ジャッキーが運転する車の後部座席でジョージがギターを弾きながら歌うシーンは印象的です。このシーンは、分かりにくいですが、モナコグランプリのコースとして有名なモンテカルロ市街地で撮影されています。また、『慈愛の輝き』のレコーディング中にイタリアグランプリで事故死したロニー・ピーターソンにも、この曲は捧げられています。加えて、このシングルの売り上げは、グンナー・ニルソンが設立した癌基金に寄付されました。

「ファースター」は、F1への情熱と人生観が融合した、ジョージ・ハリスンならではのユニークな作品と言えるでしょう。レースの興奮と人生の機微を、音楽を通して表現しようとした彼の試みは、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

収録曲

1. ファースター - (Faster)
2. 永遠の愛 - (Your Love Is Forever)

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