ファースト・ガール

ファースト・ガール

『ファースト・ガール』は、さいとうちほによる漫画作品で、2002年から2003年にかけて『プチコミック』（小学館）で連載されました。単行本は全5巻で刊行されています。

あらすじ

物語は、タンゴを愛する女子高生・五月美雨が、借金に苦しむ母親を助けるためにタンゴインストラクターのアルバイトを始めたことから動き出します。そこで出会ったミステリアスな男性レオンに誘われ、激しいタンゴを踊るうちに、美雨は彼に惹かれていきます。しかし、母親から衝撃的な言葉が告げられます。「レオン・ロサスにあなたを売った」と。混乱する美雨を連れて、レオンは母国トルナディアへと飛び立ちます。

レオンの祖国で、美雨はレオンに身を委ね、彼だけを愛そうと誓います。しかし、二人の愛は、軍部のクーデターによって引き裂かれ、レオンの家族は皆殺しに、レオン自身も追われる身となります。美雨は革命軍のリーダー、フアンの手に落ち、それぞれの運命は過酷な道を歩むことになります。

登場人物

主人公

五月 美雨（さつき みう）
17歳の女子高生。幼い頃からタンゴを愛し、その情熱は、レオンとの出会いによってさらに開花します。異国で様々な困難に直面しながらも、強く生き抜く女性。

レオン・ロサス
ロサス家の五男。日本人を母に持つため、兄弟たちからは疎まれています。美雨を愛するが、運命に翻弄されていきます。

美雨の家族

五月 美斗（さつき みと）
38歳。美雨の母親で元タンゴダンサー。現在はスナック「タンゴ」を経営していますが、多額の借金を抱えています。過去にトルナディアに留学し、レオンの母親とは親友でした。

弓弦（ゆづる）
14歳。美雨の義弟。美雨に恋心を抱いていますが、彼女からは弟としてしか見られていません。

ロサス家

ヨアキム・ロサス
74歳。レオンの父親で、トルナディアの大統領を25年間務めてきた人物。政界の裏で大きな影響力を持つ。

アルマンド・ロサス
ロサス家の長男。

イブライム・ロサス
ロサス家の次男。

エルネスト・ロサス
ロサス家の三男。

オスバルト・ロサス
ロサス家の四男。

その他

フアン・オルティス
市民派革命軍のリーダー。「コマンダンテ」と呼ばれ、市民から英雄視されています。美雨に惹かれていきます。

マレーナ
元タンゴダンサー。過去に風子と美斗にタンゴを教えた人物で、フアンの元から逃げ出した美雨を助けます。

シルバ
トルナディアの将軍で、日本語を話すことができます。日本との外交関係にも関わっている。

アイザック・プリンス
ブロードウェイの天才振付師兼演出家。薬物中毒を患っています。

トルナディアとは

南米に位置する小国で、首都はラルゴパソです。国名はスペイン語の「tornado/竜巻」に由来します。山岳部ではダイヤモンドや銀などの資源が豊富で、南米では比較的裕福な国です。しかし、国民の間には大きな貧富の差が存在します。近年は、青い薔薇の品種開発に成功し、特産品として栽培されています。

書誌情報

* さいとうちほ『ファースト・ガール』小学館

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