タンゴ

タンゴ（Tango）

タンゴとは、18世紀後半にイベリア半島で誕生したリズミカルな舞曲で、その後19世紀後半に南米に広まったジャンルです。特にアルゼンチンのブエノスアイレスで名を馳せ、現地の文化と密接に結びつきました。この地域で生まれた「アルゼンチン・タンゴ」は、独自のスタイルと美しさを持つダンスとして世界中に知られています。

歴史

タンゴの起源は明確には分かっていませんが、18世紀後半の「tango」という名称の音楽がイベリア半島で踊られていた記録があります。スペインの植民地政策により、このダンススタイルはラプラタ川の河口に住む人々に伝わり、1880年には初めて譜面として残されました。1900年以降、バンドネオンやフルートなどを取り入れたアンサンブルと共に、ダンスが流行し始めました。

「アルゼンチン・タンゴ」は、約130年前にブエノスアイレスのラ・ボカ地区で発祥したとされます。しかし、それ以前にもアフリカ系アルゼンチン人のコミュニティで既に「タンゴ」と呼ばれる音楽が存在していました。このダンスは、スペインやイタリアからの移民たちの不満やストレスを解消する手段としても育まれたと考えられています。最初は酒場で男性同士が踊ったり、娼婦を相手に踊ることもあったと言われていますが、具体的な記録はほとんど残っていません。

タンゴのリズムには、様々な音楽ジャンルが影響を与えました。例えば、キューバのハバネラ、ヨーロッパのワルツ、アメリカのフォックストロット、アフリカ起源のカンドンベ、パンパのミロンガなどが初期のタンゴに取り入れられました。

タンゴの進化

1880年から1919年にかけて、タンゴ音楽は急速に発展を遂げました。1880年には最初の譜面「バルトーロ」が出版され、1880年代はギターやフルートのアンサンブルが主流でしたが、バンドネオンを取り入れた楽団も出現しました。1897年にはロセンド・メンディサーバルが『エル・エントレリアーノ』を作曲し、1903年にはアンヘル・ビジョルドによる『エル・チョクロ』が発表されました。さらに、1910年には初のタンゴ学校が設立され、その後多くのアーティストがタンゴの普及に貢献しました。

1920年代には、アルゼンチンの経済が繁栄し、タンゴはさらなる発展を遂げます。有名な指揮者たちによって、踊りのためのタンゴバンドが人気になりました。また、1940年代には、アルゼンチンの経済が繁栄を見せ、タンゴの黄金時代を迎えました。この時期には多くの名曲が生まれ、特にアルフレッド・アーノルド社が人気を博しました。しかし、第二次世界大戦が終わると、バンドネオンの製造が廃止されるなどの影響を受け、タンゴは低迷期に入りました。

日本におけるタンゴの受容

日本では、アルゼンチン・タンゴとヨーロッパの影響を受けたコンチネンタル・タンゴが異なる形で普及しています。昭和初期から戦前にかけて多少のアルゼンチン・タンゴが取り入れられましたが、戦後はむしろヨーロッパのタンゴが主流となり、競技ダンスや社交ダンスが人気を集めました。1960年代からはアルゼンチンの著名なアーティストが来日し、日本でもタンゴの人気が高まっていきました。

1980年代からは「タンゴ・アルヘンティーノ」が日本にも登場し、さらにタンゴの認知度が高まります。現在では、鬼怒無月のように新たなスタイルのタンゴが探求されており、インターネットの普及によって新たな聴衆層も形成されています。

特徴と演奏スタイル

タンゴのリズムは典型的には2拍子または3拍子で、強いスタカートを駆使した演奏が特徴的です。バンドネオンが重要な役割を果たし、演奏形態はオルケスタ・ティピカからキンテート、ソロ演奏まで多様です。また、歌詞もスペイン語のものが多く、地元の俗語が用いられることも一般的です。

このようにタンゴは、その豊かな歴史と多様性で知られており、世界中に多くの愛好者を持つ舞踊及び音楽形式となっています。タンゴの多様性は、時代や地域とともに変化し続けており、今後も新たな形で進化していくことでしょう。

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