ファーム (愛媛県)

株式会社ファームについて

株式会社ファームは、愛媛県に本社を置き、日本において初となる農業公園（ファームパーク）の運営を行っていた企業です。この会社は、農村型観光施設という分野で先駆者的な役割を果たし、地域振興の面でも多くの貢献をしました。しかし、2020年には株式会社ワールドインテックに吸収合併され、今はそのパークマネジメント事業部として新たなステージに入っています。

事業の特徴

ファームパークは、自然を最大限に生かしつつ手頃なコストで経営されているのが大きな特徴です。通常、テーマパークでは多くの有料アトラクションや乗り物が存在しますが、株式会社ファームのファームパークは、電動の乗り物がほとんどなく、家畜動物との触れ合いや自然を楽しむ体験が提供されています。このスタイルは、小さな子どもを持つ家庭にとって、低予算で一日楽しめる屋外の遊び場を提供してくれるものとなっています。

また、過疎化や雇用問題に悩む地方自治体にとっても、この経営モデルは魅力的であり、多くの公園が地元自治体と連携して設立されています。ファームの創業者である久門渡さんは、最初の10施設の用地選定から地権者との交渉をすべて自ら行い、その後は自治体が基盤投資を行う中で、同社が施設の設置に主導的な役割を果たす形に変わっていきました。

沿革

株式会社ファームは1986年に第1号ファームパーク「高原牧場市倉ファーム」を開設して以来、次々と新しい施設を開設しました。続いて、1987年には「四国ニュージーランド村」、1990年には文化をテーマにした「足立の庄」をオープンし、地域振興に尽力してきました。また、1996年には地ビールの製造を開始し、観光施設内での新しいビジネスモデルを確立しました。この時期がファームの初期の黄金期といえるでしょう。

しかし、2002年をピークに業績は低迷し始め、様々な外的要因も重なり、2009年にはいくつかの施設が次々と閉鎖されました。久門渡氏は、新たな挑戦として「大和さくらい」という農業再生法人を設立し、農業公園の運営にも携わりましたが、混乱が続きました。

経営再建とその後

2013年には経営再建を目指し、整理回収機構の支援を受けたものの、2016年には再生法の適用を申請しました。この混乱を経て、ファームはワールドホールディングスの傘下に入り、新たなスタートを切りました。

2020年にはワールドインテックに吸収合併され、株式会社ファームの名称は消滅しましたが、その事業は引き継がれています。したがって、ファームパークの運営は続いており、新たな局面を迎えています。なお、愛媛県西条市に本社があった名残は残り、今後の発展が期待されています。

現在の拠点

2020年時点でのファームの拠点は、愛媛県西条市大町に本社を置くほか、首都圏にも支店を構えています。また、運営中のファームパークには、茨城県のこもれび森のイバライドや、滋賀県のブルーメの丘などがあります。一方で、多くの施設が運営を終了し、地域振興の一環として運営されていた活動が徐々に姿を消す中、株式会社ファームの遺産は今後も地方の発展に寄与していくことでしょう。

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