フアナ・エンリケス

フアナ・エンリケス（1425年 - 1468年2月13日）は、アラゴン王フアン2世の2度目の王妃として歴史に名を刻みました。彼女はカスティーリャの貴族、メルバ伯ファドリケ・エンリケスとマリアナ・デ・コルドバの間に生まれました。

1444年、フアナはフアン2世と結婚し、2人の子供をもうけました。長男は後のアラゴン王フェルナンド2世（1452年 - 1516年）、長女はナポリ王フェルディナンド1世の妃となったフアナ（1454年 - 1517年）です。

フアン2世にとってフアナは2度目の妻でした。最初の妻であるナバラ女王ブランカ1世は1441年に亡くなっています。フアンはブランカ1世との結婚によりナバラ王位も得ていましたが、ブランカの死後、本来であれば嫡子であるビアナ公カルロスが継承するはずの王位を、フアンは譲ろうとしませんでした。このことが父子の対立を招き、ナバラは内乱状態に陥ります。そこに、後妻であるフアナ・エンリケスが新たな息子フェルナンドを産んだことで、王位継承を巡る対立はさらに激化の一途を辿りました。

フアナ・エンリケスの存在は、アラゴンとナバラの政治情勢に大きな影響を与えたと言えるでしょう。彼女が産んだフェルナンドは、後にアラゴン王としてスペイン統一を成し遂げることになるのです。しかし、フアナ自身は夫であるフアン2世に先立ち、1468年にこの世を去りました。彼女の短い生涯は、政略結婚、王位継承争い、内乱といった激動の時代を反映しています。

フアナ・エンリケスの生涯は、中世ヨーロッパの政治と社会における女性の役割を考える上で重要な事例を提供してくれます。彼女は単なる王妃としてではなく、王位継承という政治的駆け引きの中で重要な役割を果たした女性として記憶されるべきでしょう。

もう一度検索