フアード2世 (エジプト王)

フアード2世の生涯と背景

フアード2世（アラビア語: أحمد فؤاد الثاني‎, Fuad II）は、1952年1月16日にエジプトのカイロで生まれました。彼はムハンマド・アリー朝の第11代君主であり、エジプト王としては3代目の君主にあたります。彼の父は国王ファールーク1世で、母はナリマン・サディクです。

フアード2世は生後わずか6ヶ月のとき、エジプト革命の影響で即位しました。この革命は、ムハンマド・ナギーブとガマール・アブドゥン＝ナーセルに率いる自由将校団によるもので、ファールーク1世は王位を追われ、亡命せざるを得なくなりました。このため、フアード2世は実質的な統治を行わないまま、名目上の君主としてその地位に就くことになりました。

フアード2世は、王政廃止の宣言を受けるまでの約一年間、王位にありましたが、彼自身が戴冠することはありませんでした。1953年6月18日に自由将校団は王政を廃止し、エジプトは共和制へと移行しました。フアード2世はその少し前に王位を退き、エジプト王朝の終焉を見守る形となりました。

その後、フアード2世は父ファールーク1世のもとへ送られ、スイスの地で新たな生活を始めました。彼はフランスに移住し、1976年にフランス人のドミニク＝フランス・ピカールと結婚しました。ピカールは結婚後、ユダヤ教からイスラム教に改宗し、ファディーラ王妃と名乗るようになります。この結婚から3人の子どもが誕生しましたが、1996年に離婚し、再びスイスに戻りました。

フアード2世の長男であるサイード公ムハンマド・アリーは、2013年4月27日に旧アフガニスタン王室のノアル王女と婚約したことが発表されました。ノアル王女は、最後のアフガニスタン国王であるザーヒル・シャーの孫娘であり、両者の結婚式は同年8月30日に行われました。

フアード2世の人生は、エジプトの歴史的な変化を如実に示すものです。彼はわずか一年の間に君主としての地位を持ちつつも、その実権を持たないまま終焉を迎えました。このような状況は、歴史の転換点である革命期に生まれた運命のようなものであり、彼の家族や後の世代に影響を与え続けています。フアード2世のその後の生活は、彼の出身国から遠く離れた場所での平穏な日々を求めるものでありましたが、エジプトとの関わりは切ることができませんでした。

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