ムハンマド・ナギーブ

ムハンマド・ナギーブの軌跡

ムハンマド・ナギーブ（1901年2月20日 - 1984年8月29日）は、エジプトの軍人であり政治家で、1952年のエジプト革命で重要な役割を果たしました。最初にエジプト王国の第34代首相に就任し、その後、初代エジプト共和国大統領となりました。彼の姓は、正則アラビア語に基づく「ナジーブ」が発音に近いですが、エジプト方言では「ナギーブ」または「ナギブ」として知られています。

幼少期と青年時代

ナギーブは、イギリスとエジプトの共同統治下にあるスーダンで生まれました。幼少期を過ごしたハルツームでは、イギリスの植民地主義に対する批判的な立場を持っていました。その後、エジプトに移住し、陸軍士官学校に入学して軍人としてのキャリアをスタートさせました。学業においては語学にも力を入れ、イタリア語、英語、フランス語、ドイツ語を習得しました。

自由将校団への参加

ナギーブは、1919年のエジプト革命に参加しました。彼は国旗を掲げて座り込みを行うなど、国内の政治情勢にも積極的に関わりました。1940年代にはエジプト軍内での地位を確立し、1949年には国境軍の総司令官に就任しました。この頃、エジプト王国政府の親英路線に対抗すべく、自由将校団に参加することになります。

エジプト革命

1952年7月23日、ナギーブと自由将校団はエジプト革命を起こし、ファールーク1世を退位に追い込みました。ナギーブは革命のリーダーとして陸軍総司令官となり、すぐに革命指導評議会を設立しました。彼はファールーク1世の亡命を支持し、若きフアード2世を王位に就けることを選択しました。この決断は、王政の維持がイギリス介入の口実を作らないための策略でした。

大統領としてのナギーブ

ナギーブは、首相兼大統領としてエジプト共和国の政権を運営しましたが、自由将校団の中で強い影響力を持つナーセルとの間で権力闘争が起こります。ナギーブは政権の運営に不安を抱き、次第に彼の権力は制限されていきました。1954年に彼は政権から追放され、その後、カイロ近郊の自宅に軟禁されることとなりました。

晩年と死

ナギーブは1972年に軟禁を解かれ、その後1984年に死去しました。彼の死後、死者への敬意を表して軍葬が行われると同時に、彼の生涯を語った回顧録『私は大統領だった』が出版され、多くの人に読まれました。この著作は後に復刻され、『エジプトの運命』というタイトルで英訳もされました。また、エジプトやスーダンのいくつかの場所には彼の名がつけられています。

ナギーブの生涯は、エジプトの歴史において革命とその後の政治的変革の象徴とされ、彼の足跡は今でも語り継がれています。

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