フィアット 6614

フィアット6614（FIAT Tipo 6614）の概要

フィアット6614は1970年代にイタリアのフィアット社とオート・メラーラ社が協力して開発した小型の4輪式装甲兵員輸送車です。この車両は、特に軍事作戦において兵員を安全に運ぶために設計されています。

設計と構造

フィアット6614は、運転席が車体前部の左側に配置されており、運転手は周囲の状況を確認しやすいように防弾ガラスによって視界が保護されています。車長は、車体の中央に位置し、M113装甲兵員輸送車から流用されたキューポラを通じて周囲の警戒を行います。このキューポラには機関銃が装備されており、必要に応じて自衛のために使用できます。

この装甲兵員輸送車には10名の兵員が乗り込むことができ、その座席は一般的な向かい合わせや背中合わせのベンチシートではなく、全員が前を向いて座れる独立した構造になっています。乗降時の利便性を考慮し、シートは背もたれ部分が折りたためるデザインが採用されており、迅速な乗降が可能です。また、ドアは左右と後部にそれぞれ1基ずつ、合計3基あり、追加で装備された10基のガンポートから兵員は対敵に対応可能です。

防護能力

フィアット6614の装甲は、7.62mm NATO弾や榴弾の破片から兵員を保護することができ、一般的な小火器からの防護性能を持っています。その上、NBC（核、生物、化学）防護装備も搭載されているため、過酷な環境でも使用可能です。

さらに、この車両は水上での浮航能力も備えており、タイヤを水中で回転させることにより前進することができます。これにより、水没地域や洪水が発生した地域でも運用が可能です。

生産と導入国

実際に1,160両が生産され、主にアルゼンチンやベネズエラ、ペルー、イタリア、チュニジア、ソマリアで運用されました。特に、韓国ではKM900としてライセンス生産され、さらに障害物除去用のドーザーブレードを装備できる派生型KM901も開発されました。

登場作品

フィアット6614は、さまざまなメディア作品に登場しています。例えば、映画『光州5・18』では戒厳軍の車両として登場し、また『ソウルの春』ではKM901が大韓民国陸軍の装甲兵員輸送車として、反乱軍と鎮圧軍双方に使用されています。作中では、特殊戦司令部第2空挺旅団に所属するKM901が、キューポラに装備されたM60機関銃で攻撃し、仲間の支援に務めるシーンも描かれています。

結論

フィアット6614は、その独自の設計と高い運用性により、1970年代の軍事作戦において重要な役割を果たしました。世界各国で運用されたこの車両は、特に兵員輸送のニーズに応えるための優れた手段として評価されています。

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