フィアーノ (ブドウ)

フィアーノ：南イタリア原産の白ブドウ品種

フィアーノは、イタリア南部、特にカンパーニャ州やシチリア島で栽培されている白ワイン用のブドウ品種です。その風味の強さから、特にアヴェッリーノ県一帯で高く評価されており、この地域ではD.O.C.G.（保証つき統制原産地呼称）認定ワインであるフィアーノ・ディ・アヴェッリーノが生産されています。

歴史

ワインの専門家たちは、フィアーノが古代ローマ時代から存在する「古典的ブドウ」であると考えています。古代ローマのワイン、アピアーヌムの元になった品種であるという説もあり、アピアーヌムの名は、現在でもフィアーノ・ディ・アヴェッリーノのラベルに表記することが認められています。アピアーヌムは、ラテン語で「蜂」を意味するウィーティス・アピアーナというブドウから作られており、糖度の高いフィアーノの果実には、現代でも蜂がよく集まります。

19世紀から20世紀にかけて、フィアーノは栽培の難しさから人気を落としましたが、近年、南イタリアのワイン生産地域で醸造技術が向上し、土着品種への関心が高まったことから、再び注目を集めています。

生産地域

フィアーノと最も深い関係にあるのは、カンパーニャ州のD.O.C.G.認定ワイン、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノです。20世紀後半には栽培が途絶えかけましたが、マストロベラルディーノなどの生産者の努力により、アヴェッリーノ一帯で栽培が復活しました。アヴェッリーノ県内各地のヘーゼルナッツ農園に植えられたフィアーノから作られるワインは、ヘーゼルナッツの風味を帯びることがあります。

2003年、アヴェッリーノ地域は、フィアーノを主体としたワインでD.O.C.G.の認定を受けました。フィアーノ・ディ・アヴェッリーノDOCGを名乗るには、ワインの85%以上がフィアーノでなければならず、残りの部分にはグレコ、コーダ・ディ・ヴォルペ、トレッビアーノを使用することが認められています。

イタリア以外では、オーストラリアやアルゼンチンでもフィアーノの栽培が始まっています。オーストラリアでは、マクラーレン・ヴェイルやハンター・ヴァレーなどで生産されており、アルゼンチンでは、メンドーサ州やラ・リオハ州でワインが生産されています。

ワインの特徴

フィアーノから作られるワインは、熟成能力が高く、数年間瓶内で熟成させることができます。若い状態では蜂蜜のようなアロマが強く、熟成するにつれてスパイスやナッツのような香りが増していきます。近代的なワイン醸造技術により、フィアーノの品質は年々向上していますが、伝統的な製法で作られたワインは、重めで酸化しやすい傾向があります。

出来の良いフィアーノは、口に含むとボリューム感があり、花や蜂蜜、スパイスの風味が感じられます。また、瓶内熟成によってさらに品質が向上します。フィアーノ・ディ・アヴェッリーノは、薄い麦わら色で、強いスパイスのアロマと花の香りが特徴です。口に含むと、蜂蜜やヘーゼルナッツの風味も感じられます。

その他のD.O.C.認定ワイン

フィアーノは、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ以外にも、様々なD.O.C.認定ワインに使用されています。フィアーノの比率や、使用が認められているブドウの品種は、DOC/G表記の規定によって異なります。

チレント DOC (Cilento DOC) - フィアーノは60-65%使用
サンニオ DOC (Sannio DOC) - フィアーノのセパージュワインも存在する（85%以上使用）

別名

フィアーノは、長年にわたり様々な別名で知られています。

アピアーナ (Apiana)
アピアーノ (Apiano)
* ミヌトラ (Minutola)

フィアーノは、その豊かな風味とアロマ、そして熟成能力の高さから、近年ますます注目を集めているブドウ品種です。

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