フィスト・バンプ

フィストバンプ、別名グータッチは、拳と拳を軽く合わせるジェスチャーです。握手やハイタッチと同様に、親愛の情や祝福、合意を示す際に用いられます。単なる挨拶にとどまらず、相手への敬意や連帯感を表現するシンボルとしても機能します。

フィストバンプの多様な使われ方

フィストバンプは、単独で行われるだけでなく、他のジェスチャーと組み合わせて使われることもあります。例えば、フィストバンプの後に手を叩いたり、肩を叩いたりするなどの動作が加わることもあります。また、「ダップ」と呼ばれる一連のジェスチャーの一部として組み込まれることもあります。特に、スポーツの世界では、試合での成功や勝利を祝う際に、選手同士がフィストバンプを交わす光景がよく見られます。

メリアム＝ウェブスター辞典によれば、フィストバンプは、2人が互いに拳を突き合わせることで挨拶や祝福を表すジェスチャーと定義されています。この時、拳の向きは地面に対して垂直または水平になります。握手では通常右手が用いられますが、フィストバンプでは左右どちらの拳を使っても構いません。このように、フィストバンプは柔軟で多様なコミュニケーションツールとして活用されています。

起源に関する諸説

フィストバンプの明確な起源は、残念ながら特定されていません。しかし、いくつかの興味深い説が存在します。

フレッド・カーター説: 1970年代にフレッド・カーターが現在の形のフィストバンプを始めたという説があります。この説によれば、カーターの行動が一般に広まったとされています。
スーパーフレンズ説: ハンナ・バーベラ・プロダクションが制作したアニメ『スーパーフレンズ』に登場するワンダー・ツインズが、指関節を合わせる決めポーズをとっており、これがフィストバンプの起源だとする説もあります。
スタン・ミュージアル説: 野球選手のスタン・ミュージアルが、1950年代から1960年代にかけて、握手の代わりにフィストバンプを用いていたという事例もあります。ミュージアルは、握手による細菌感染を恐れていたため、フィストバンプを好んでいたとされています。
ブラックパワー・サリュート説: 研究者のラモント・ハミルトンは、フィストバンプが黒人差別に抗議する示威行為であるブラックパワー・サリュートのジェスチャーを修正した挨拶であると主張しています。
* チンパンジーの行動: 動物行動学者のマーガレット・パワーは、チンパンジーの間でもフィストバンプのような行動が観察されると述べています。

衛生的な観点からのフィストバンプ

2009年の新型インフルエンザの世界的流行時には、カルガリー大学薬学部局長のトム・フィーズビーが、フィストバンプが握手の代替として、ウイルスの感染対策になる可能性を示唆しました。同様に、ハイタッチも握手よりも菌の媒介を抑制する効果があるという研究結果が出ています。接触面積を減らすことで、細菌の拡散を抑制できると考えられています。

しかし、2019年に発生した新型コロナウイルスの世界的流行の際には、2020年の大リーグではフィストバンプですら禁止されるという事態になりました。これは、パンデミック時の感染対策として、接触を極力避けることが重要視されたためです。フィストバンプは、握手と比較して感染リスクは低いものの、完全に感染を防止できるわけではありません。

フィストバンプは、文化や状況に応じて多様な意味を持つジェスチャーです。その起源ははっきりとはしていませんが、現代では親愛の情や祝福、敬意を表す手段として広く受け入れられています。また、衛生面への配慮から握手の代替としても注目されています。今後も、コミュニケーションツールとして様々な場面で活用されていくことでしょう。

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