フィフティーン・ラブ

フィフティーン・ラブ

『フィフティーン・ラブ』は、塀内夏子（連載当時は「塀内真人」名義）が1984年から1986年にかけて『週刊少年マガジン』（講談社）で連載したテニス漫画です。単行本は少年マガジンコミックス全11巻、KCスペシャル全6巻が刊行されました。

あらすじ

中学2年生のヒロは、100メートル走で中学記録を持つ俊足の持ち主。しかし、テニスとの出会いをきっかけに、彼はテニスの世界へと足を踏み入れます。神奈川県の中体連で九童一也に敗れたヒロは、その才能を見出され、アメリカのテニスアカデミーに留学することになります。

オレンジボウル

アメリカでヒロは、ロリアーナ、ロビン、デビーといったライバルたちと出会い、オレンジボウルを目指して練習に励みます。「キャノン・ボーイ」と呼ばれるほどのフォアハンドを武器に、ヒロはデビー、リックを破り、決勝で天才ロビンと対戦。激戦の末、勝利を収めます。試合後、ロリはヒロに想いを告げますが、ロビンは「天才ロビンは死んだわ」という意味深な言葉を残します。

全米オープン

全米オープンにワイルドカードで出場したヒロは、過去を捨ててアメリカに亡命したロビンと再会します。予選でロビンと対戦したヒロは、彼の復活の手ごたえを感じます。ヒロとデビーの試合は4時間に及ぶ激戦となり、ヒロが勝利。しかし、4回戦で王者フィッツ・ロイに完敗し、力の差を痛感します。

全仏オープン

全仏オープン1回戦で、ヒロはバグジーに敗れます。謹慎処分を受けたヒロは、ビリーとエイミとの出会いからアプローチショットの重要性に気づき、新たなプレースタイルを編み出します。しかし、その直後、エイミが交通事故で亡くなってしまいます。ヒロは全英オープンの出場をためらいますが、リックに励まされ、再びコートに立つことを決意します。

全英オープン（ウインブルドン選手権）

全英オープンで、ヒロは新しいプレースタイルを武器に勝ち進みます。ロビン、デビー、竜飛といったライバルたちもベスト8に進出。準々決勝でヒロはバグジーを破り、ロビンとデビーの試合はデビーが制します。準決勝でヒロはビリーと対戦し、激戦の末に勝利。決勝では、女王ライザを破ったロリと、ヒロに敗れたデビーが応援に駆けつけます。

決勝でヒロは、フィッツ・ロイに2セットを連取されますが、自分のテニスの原点を思い出し、反撃を開始します。第4セットでは、ロイの「野生のカン」に対し、予測能力で対抗。グリップの違いに気づき、「ヒロミ・スペシャル」にドライブを加え、セットを奪います。最終セットでは、ショットを読む能力とテニス脚を進化させ、勝利を掴み、史上最年少でウインブルドンを制覇します。

主な登場人物

松本広海（ヒロ）: 本作の主人公。驚異的な俊足とフォアハンドを武器に、世界を目指す。
九童一也: ヒロにテニスの基礎を教えたライバル。全日本ランキング2位の実力者。
ロリアーナ・バイスフロク（ロリ）: チェコスロバキアの女子テニスプレイヤー。ヒロと互いに惹かれあう。
デビー・コステン: スラム街出身のテニスプレイヤー。ヒロの最大のライバル。
ロビン・ザンダー: チェコの天才テニスプレイヤー。ヒロに敗れた後、アメリカに亡命。
リチャード・ウルフ（リック）: ネイティブ・アメリカンの血を引くテニスプレイヤー。ヒロの親友。
バグジー・アーロン: スウェーデンのテニスプレイヤー。「氷の貴公子」と呼ばれる。
ビリー・ジャクソン: 「アメリカの荒鷲」と呼ばれる実力者。プレッシャーに弱い。
フィッツ・ロイ: 「黄金の鷹」と呼ばれるATPランキング1位の王者。

書誌情報

塀内夏子『フィフティーン・ラブ』講談社〈少年マガジンコミックス〉、全11巻。
* 塀内夏子『フィフティーン・ラブ』講談社〈KCスペシャル〉、全6巻。

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