塀内夏子

塀内夏子の軌跡：スポーツ漫画に情熱を注ぐ漫画家の世界

塀内夏子（へいうち なつこ）は、日本の漫画家であり、旧ペンネームは塀内真人（へいうち まさと）でした。1960年6月30日に神奈川県川崎市宮前区で生まれました。

学生時代から漫画家へ

中学時代はバスケットボール部、高校時代はワンダーフォーゲル部に所属していました。高校在学中に本格的に少女漫画を描き始め、処女作『ボロクズ』が別マ少女まんがスクール銀賞を受賞。『別冊マーガレット』（集英社）1979年2月増刊号に掲載されデビューを果たしました。しかし、少女漫画的な表現方法やラブコメディは不向きだと感じ、次第に漫画を描かなくなりました。

武蔵野美術大学に進学するも中退し、アニメの背景画を手掛ける石垣プロダクションに就職。『六神合体ゴッドマーズ』などの作品に関わりましたが、1年半ほどで退職。その後、少年漫画を描き始め、山をテーマにした『背負子と足音』が週刊少年マガジン新人漫画賞に入選し、『週刊少年マガジン』（講談社）1983年1・2合併号に掲載され、再デビューを果たしました。

ペンネームの変更とスポーツ漫画への傾倒

1984年からは弟の名前を借りて「塀内真人」というペンネームを使用。「女の子の書いたスポーツ漫画は読まれない」という思いからでしたが、読者の反応から性別は関係ないと理解し、平成に入って本名に戻しました。

『おれたちの頂』（登山）、『フィフティーン・ラブ』（テニス）、『オフサイド』（サッカー）など、スポーツ漫画を多く発表し、スポーツ青春漫画の盟主と評されるようになりました。また、『海よ、おまえは』や『勝利の朝』のような社会問題を題材とした作品も発表しています。

2004年からは三国志を題材とした『覇王の剣』を発表しましたが、打ち切りとなり、2000年代半ば以降は青年誌や女性誌などにも発表の場を広げています。

作風と趣向

登場人物の激情的な心理描写や、熱血青春ものを得意としています。「スポーツ漫画を描くならスポーツを好きでなくてはならない」という信念を持ち、スポーツノンフィクションに近い作風が特徴です。スポーツを題材に選んだのは、当時の少年漫画の流行から消去法で残った結果であり、テレビ観戦が好きだったことや、ちばてつや、水島新司の作品に親しんでいたことも影響しています。

取材力にも定評がありますが、登場人物のキャラクター作りを最優先しています。競技特有の繊細な身体動作を良く理解できないまま連載に入るため、後から赤面することもあると語っています。

登山、テニス、サッカーなど多岐にわたるスポーツを題材としていますが、特に登山は高校時代のワンダーフォーゲル部の経験から、少年誌での初掲載作品となっています。2003年からは日本百名山を登り始め、その体験をエッセー漫画、ルポ漫画「なつこの百名山奮“登”記」として発表しました。

トラブルと作品リスト

『海よ、おまえは』では、石垣島の空港建設問題をテーマにしたことで、建設反対派から批判を受け、謝罪文を掲載する事態となりました。また、『イカロスの山』では、登山用ロープの技術用法に関する事実誤認があり、謝罪文と修正箇所を掲載しました。

主な連載作品として、『おれたちの頂』『フィフティーン・ラブ』『オフサイド』『Jドリーム』シリーズなどがあります。

塀内夏子は、スポーツ漫画を通じて、青春の熱さや感動を読者に届けています。その作品は、多くの人々に勇気と希望を与え続けています。

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