フィリップ・スパーク

フィリップ・スパークは、1951年12月29日にロンドンで生まれたイギリスの作曲家です。特にブラスバンドや吹奏楽のための作品で世界的に名を知られ、指揮者としても幅広く活動しています。

幼少期から音楽に親しみ、10代の頃にはピアノやヴァイオリンのレッスンを受けました。その後、王立音楽大学に進学し、トランペット、ピアノ、そして作曲を専攻。在学中にいくつかの作品を発表し、作曲家としての歩みを始めています。

大学を卒業してからは、その才能が国際的な場で次々と開花しました。特に、英国放送協会（BBC）からの委嘱により作曲された三つの作品は、欧州放送連合が主催するバンドのための新作コンクールで、1985年から1987年にかけて三年連続で優勝するという快挙を成し遂げました。また、アメリカ空軍バンドからの依頼で作曲された「ダンス・ムーブメント」は、1997年に権威あるサドラー国際作曲賞を受賞しています。近年でも、2005年に「宇宙の音楽」、2016年には交響曲第3番「色彩交響曲（カラー・シンフォニー）」で、アメリカのNBAレヴェリ作曲コンテストの最優秀賞に輝くなど、現代のブラスバンド・吹奏楽界における最重要人物の一人として、その評価を確固たるものとしています。

スパーク氏の作品は、ブラスバンドと吹奏楽の両編成のために数多く書かれており、ご自身でブラスバンド版から吹奏楽版へと編曲することも珍しくありません。また、既存の別編成の楽曲を新たな作品に転用するといった手法も見られます。彼の活動の場はイギリス国内に留まらず、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、そして日本といった世界各地に広がっています。特に日本とは深いつながりを持ち、東京佼成ウインドオーケストラからの委嘱作品である「セレブレーション」の作曲や、東日本大震災への追悼と復興への願いを込めた「陽はまた昇る」の献呈など、日本の多くの吹奏楽団体で彼の作品が頻繁に演奏され、親しまれています。

2000年には、自身の作品を出版・普及させるためのレーベル「アングロ・ミュージック・プレス」を設立しました。この出版社からは楽譜のほか、ご自身が指揮する演奏を収めたCDなどもリリースされています。

フィリップ・スパークの代表的な作品には以下のようなものがあります。

吹奏楽作品:
ジュビリー序曲
ドラゴンの年
長く白い雲のたなびく国「アオテアロア」
祝典のための音楽
セレブレーション
ダンス・ムーヴメント
宇宙の音楽
陽はまた昇る
交響曲第2番「サヴァンナ・シンフォニー」
ブラスバンド作品:
ジュビリー序曲
スカイライダー
ドラゴンの年
ロンドン序曲
祝典のための音楽
ハイランド讃歌
宇宙の音楽
独奏作品:
パントマイム（ユーフォニアム）
ハーレクイン（ユーフォニアム）
コルネット協奏曲
* ユーフォニアム協奏曲第1番・第2番

彼の作品は、親しみやすい旋律、躍動感あふれるリズム、そして色彩豊かな響きが特徴で、アマチュアからプロフェッショナルまで、世界中のバンドから高い人気を得ています。フィリップ・スパークは、現代の吹奏楽およびブラスバンドの発展に多大な貢献を果たし続けている、欠かせない存在と言えるでしょう。

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