フィリップ・トマス

フィリップ・フランシス・トマスの生涯

フィリップ・フランシス・トマス（1810年9月12日 - 1890年10月2日）は、アメリカ合衆国の法律家であり政治家であった。彼は1848年から1851年までメリーランド州知事を務め、さらに1860年から1861年までアメリカ合衆国財務長官を務めた。

初期の人生

トマスはメリーランド州イーストンで誕生し、1828年にペンシルベニア州のディッキンソン大学に入学するが、1830年に退学となる。退学後は法学を独学で学び、1831年にはメリーランド州から弁護士として認可を受けた。

政治キャリアの始まり

弁護士としてのキャリアをスタートさせたトマスは、すぐに政治活動にも足を踏み入れた。彼は1834年にメリーランド州下院議員選挙に挑戦するが敗北。その後、1836年の憲法制定会議の委員に選任され、憲法の改正作業に携わる。本格的な政治家としての足場を固めるには至らず、数度の選挙で失敗を重ねたものの、1838年には下院議員として当選し、1839年まで議員として活動した。

上院議員と州知事

1839年から1841年までアメリカ合衆国下院議員を務めた後、予備役としてメリーランド州議会に復帰。1848年には州知事選に立候補し、当選を果たす。州知事としての任期を経て、会計監査官にも選任された。1853年にはフランクリン・ピアーズ大統領から海軍長官に指名されたが、このオファーは辞退し、ボルティモア港の税関長職に就いた。

財務長官としての活動

1860年12月、ジェームズ・ブキャナン大統領から財務長官に任命される。この時、前任者の辞任に伴う緊急な状況だったため、トマスは不本意ながらその職を引き受けた。任期中、国庫の借入金の利払いに苦慮しただけでなく、南部州の連邦離脱に伴う経済の不安定さにも直面した。彼は南部への資金貸付けを試みたが、失敗し、任期開始からわずか1ヶ月で辞職を余儀なくされた。

政界復帰と後半生

財務長官を辞任後は、メリーランド州に帰り、再び下院議員選挙に立候補し当選。加えて1867年には上院議員選挙にも成功したが、南北戦争における政治的状況により、議席をはく奪される。また、1875年から1877年までメリーランド州第1選挙区から下院議員を務め、2期目の候補として名前が挙がるも自らの意向で辞退した。彼は生涯を通じてイーストンで弁護士として働き続けた。

最期

1890年、トマスはボルティモアで亡くなり、故郷イーストンのスプリングヒル墓地に埋葬された。彼の生涯は米国政治における多様な役割を果たし、アメリカ合衆国の歴史において重要な人物の一人といえる。

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