フィリッポ2世・ディ・サヴォイア

フィリッポ2世・ディ・サヴォイアの生涯

フィリッポ2世・ディ・サヴォイア（1448年2月5日 - 1497年11月7日）は、サヴォイア公、ピエモンテ公、アオスタ伯、モーリエンヌ伯、ニース伯、ブレス伯、そしてキプロス王、エルサレム王（在位：1496年 - 1497年）という数々の称号を持つ人物です。フランス語ではフィリップ2世・ド・サヴォワと呼ばれます。彼はサヴォイア＝ブレッセ家の祖であり、その血統はヨーロッパの歴史に深く関わっています。

父はサヴォイア公ルドヴィーコ、母はアンヌ・ド・リュジニャンです。フィリッポ2世は、兄アメデーオ9世の家系が断絶した後、サヴォイア家の男系男子として最も近親であったため、公位を継承することになりました。

公位継承

サヴォイア公位は、当初アメデーオ9世の家系によって継承されていましたが、その孫であるカルロ・ジョヴァンニ・アメデーオ（カルロ2世）の死により、この血統は途絶えました。この時、フィリッポがサヴォイア家の男系男子として最も近い親族であったため、後継者として選ばれました。この継承は、それまで明確に定められていなかったサリカ法による男系継承を確立する契機となり、以降、イタリア王国時代に至るまで、サヴォイア家の公位は男系によって継承されることになりました。

短くも重要な治世

フィリッポ2世の治世は短く、公位を継承した翌年の1497年に死去しました。しかし、彼の治世はサヴォイア家の歴史において重要な転換点となりました。彼の死後、最初の妻マルゲリータ（マルグリット）との間の息子フィリベルト2世、次いで後妻クラウディーナ（クロディーヌ）との間の息子カルロ3世が公位を継承しました。

フィリッポ2世の家族

フィリッポ2世は、複数の結婚と愛人関係を通じて多くの子をもうけました。以下にその詳細を記します。

最初の妻：マルグリット・ド・ブルボン

最初の妻マルグリット・ド・ブルボン（1438年 - 1483年）は、ブルボン公シャルル1世の娘であり、彼女との間に2男1女をもうけました。

ルイーザ（1476年 - 1531年）：アングレーム伯シャルルと結婚。フランス王フランソワ1世、ナバラ王妃マルグリットの母。
ジローラモ（1478年）：夭逝。
フィリベルト2世（1480年 - 1504年）：サヴォイア公位を継承。

2番目の妻：クロディーヌ・ド・ブロス

2番目の妻クロディーヌ・ド・ブロス（1450年 - 1513年）との間には、5男1女をもうけました。

カルロ3世（1486年 - 1553年）：サヴォイア公位を継承。
ルイージ（1488年 - 1502年）：夭逝。
フィリッポ（1490年 - 1533年）：ヌムール公、サヴォワ＝ヌムール家の祖。
アッサローネ（1494年）：夭逝。
ジョヴァンニ・アメデーオ（1495年）：夭逝。
フィリベルタ（1498年 - 1524年）：ヌムール公ジュリアーノ・デ・メディチと結婚。

妾との間の庶子

フィリッポ2世は、妾のリベーラ・ポルトネーリとの間に3人の庶子をもうけました。

レナート：ヴィラール伯、タンド伯
アントーニア：モナコ領主ジャン2世と結婚
ピエトロ：ジュネーヴ司教

また、妾のボナ・ディ・ロマニャーノとの間にも4人の庶子がいました。

クラウディア：ホールネ伯ヤン3世と結婚
マルゲリータ：コスタ・ディ・キエーリ伯フェレオルと結婚
ジョヴァンナ：詳細不明
ミケーレ：修道士

フィリッポ2世は、その多くの子供たちを通じて、ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えました。特に、最初の妻マルグリットとの間に生まれた娘ルイーザは、フランス王フランソワ1世の母であり、その影響力は計り知れません。

このように、フィリッポ2世はサヴォイア家の歴史において、公位継承の転換点を作り、多くの子孫を残すことで、ヨーロッパの歴史にその名を刻んだ人物と言えるでしょう。

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