フィリピンの都市

フィリピンの市について

フィリピンの市は、地方自治体としての役割を担い、その存在は1991年の地方自治体綱領と市憲章によって規定されています。すべての市は憲章市であり、独自の行政構造と権限を持ちます。

市の概要

数: 2015年12月時点で145市、2019年9月には146市が存在しました。
議員選出: 25万人以上の人口を抱える市は、フィリピン代議会に議員を輩出できます。
権限: 市は公印を使用し、企業体として不動産や個人資産を取得・管理する権利を持ちます。また、公共目的のために私有財産を収用する権限も有しています。
憲章: 市憲章は法令によってのみ作成・修正が可能で、議会は市に特別な権限を与えることができます。
財政: すべての市は、一般自治体よりも高い内国歳入割当金（IRA）を受け取り、高度な自治権を持ちます。

行政

市は、一般選挙で選ばれた市長によって運営されます。副市長は市の立法機関である都市評議会（市議会）の議長を務めます。市には行政部門があり、市政運営に必要な部署が個別に設置されています。

行政区画

市や町はバランガイ（Brgy）と呼ばれる区分に分けられます。バランガイは都市部にも農村部にも存在し、公式に定義された行政区にまとめられることもあります。一部の都市では、ゾーンと呼ばれるバランガイと行政区画の中間に位置する区分も存在しますが、これらは政治単位ではなく、行政や統計の目的で使用されます。

市の分類

市は、所得分類と法的分類の2つの基準で分類されます。

所得分類

過去4年間の平均年収に基づいて分類されます。

法的分類

1991年の地方自治体法により、すべての市は以下の3つのカテゴリーに分類されます。

高度都市化都市（HUC）: 人口20万人以上、年収5千万ペソ以上の都市。
独立構成都市（ICC）: 州の役人に投票することを禁じられている憲章を持つ都市。
構成都市（CC）: 上記の要件を満たさない都市で、地理的に位置する州の一部と見なされます。

独立都市

フィリピンには38の独立した都市があり、高度都市化都市または独立構成都市に分類されます。これらの都市は、州の干渉を受けずに自治権を行使できます。

立法: 市議会の制定は州議会の審査を受けません。
財政: 州との税収分配が停止されます。
行政: 大統領が直接監督権限を行使します。

都市の創設

都市を組み込むことができるのは議会のみです。都市になるためには、以下の要件を満たす必要があります。

収入: 過去2年間の平均年収が1億ペソ以上。
人口: 15万人以上。
面積: 100平方キロメートル以上の連続した領域。

都市の設立は、議会による法案の起草、両院の承認、大統領の署名によって行われます。1983年以前は、収入、人口、土地の要件を満たす必要はありませんでした。

都市化の動機

初期の都市は、有利な立地や戦略的な場所、人口密集地域に設立されました。しかし、ほとんどの都市は、地域市民政府の形態を提供するために設立されました。また、自治体は、内国歳入配分（IRA）の増加と追加の権限を取得するために、都市になることを望む場合があります。

1991年の地方自治体法の制定後、自治体の都市への転換が増加しました。しかし、収入要件を満たさない自治体の都市化は法的紛争を引き起こし、一部の都市は一時的に降格しました。

都市の地位の変更

都市の地位は、長年にわたり法律の改正や新たな法律の施行により変更されてきました。1979年以前は、すべての都市は公認都市と見なされていましたが、公式なカテゴリーはありませんでした。

1979年以降、都市は高度都市化都市（HUC）と構成都市に分類され、1992年以降、独立構成都市（ICC）のカテゴリーが導入されました。これらの法的分類の変更は、市の住民が州の役人に投票する資格に影響を与えました。

高度都市化都市へのアップグレード

構成都市が高度都市化都市にアップグレードされるには、以下の要件を満たす必要があります。

人口: 20万人以上。
収入: 1991年価格で5千万ペソ以上。

大統領の宣言後、国民投票で転換を承認する必要があります。一部の都市は国民投票で転換を拒否されました。

ダウングレード

高度都市化都市が構成都市にダウングレードされた例はありません。サンティアゴ市の例では、構成都市としての地位が変更される際には住民投票が必要であることが示されました。

フィリピン都市連盟（LCP）

フィリピン都市連盟（LCP）は、行政や地方自治を改善するために設立された非営利団体で、148の市が加盟しています。

市の一覧

フィリピンには146の市が存在します。最新の市は、2019年に批准されたサント・トーマス市です。

最大の都市

最大の都市には、ケソン市、マニラ、ダバオ市などがあります。

統計

都市の人口、人口密度、面積、標高、位置に関する統計データは、上記の本文中に記載されています。

現存しない/廃止された市

過去には、レガスピ市、バシラン市、ラジャ・ブアヤン市などの都市が存在しましたが、現在は廃止または分割されています。

「リーグオブ16」と法的戦い

2007年に都市に転換された16の自治体の都市法は、最高裁判所によって複数回、無効とされたり復活したりするなどの法的争いの対象となりました。

拒否された都市

バタンガス、タルラック、イラガン、ノヴァリチェス、メイカウアヤンなど、都市になることを拒否された市町村の例があります。

以前の名前

一部の都市は、昇格時に名前が変更されました。カガヤン・デ・オロ、ラプ=ラプ、マラウィ、オザミス、パサイ、ロハスなどがその例です。

参考文献

本文中に記載された情報には、フィリピン都市連盟（LCP）などの信頼できる情報源が使用されています。詳細な情報は、外部リンクで参照できます。

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