フィル・モグ

フィル・モグ

フィル・モグ（Phil Mogg）は、1948年4月15日にイングランドで生まれた、世界的に知られるロックミュージシャンであり、シンガーソングライターです。特に、ハードロック／ヘヴィメタルというジャンルが形成される以前の黎明期から活動を続け、その発展に貢献した重要なボーカリストの一人として位置づけられています。彼は、イギリスを代表するロックバンドであるUFOの中心的メンバーとして、長年にわたりそのフロントマンを務めました。

経歴

ロンドンのウッドグリーンノースで育ったフィル・モグは、1969年8月、旧知の友人であるピート・ウェイ（ベース）やアンディ・パーカー（ドラム）と共に、後に伝説となるロックバンド、UFOを結成し、リードボーカルを担当することになります。当初はサイケデリック・ロック色の強いサウンドでしたが、ドイツ出身の才能あふれるギタリスト、マイケル・シェンカーが加入したことで、バンドはよりハードな方向へと音楽性を変化させ、世界的な成功を収めることとなりました。

しかし、バンドの順風満帆な道のりは長くは続きませんでした。マイケル・シェンカーが脱退すると、UFOの人気は次第に下降線をたどります。その後もピート・ウェイを含む主要メンバーの脱退がありましたが、フィル・モグはバンドの核としてUFOの名称を守り続けました。それでも活動は困難を極め、1988年に一度バンドは解散します。

約4年のブランクを経て、UFOは1992年に再結成を果たします。その後はメンバーの出入りが激しく、特にマイケル・シェンカーが復帰と脱退を繰り返すなど混乱もありましたが、フィル・モグを中心として精力的に活動を継続しました。そして、バンド結成から50周年を迎えた記念すべきツアーを最後に、彼は長年務めたUFOのライブ活動から身を引くことを表明しました。

UFOでの活動以外にも、フィル・モグはいくつかのプロジェクトに参加しています。1990年代後半には、盟友ピート・ウェイと共にMogg/Wayというユニットを結成し、『Edge of the World』（1997年）と『Chocolate Box』（1999年）という2枚のアルバムを発表しました。これは、当時のマイケル・シェンカー側のマネージャーとの契約問題から、一時的に「UFO」の名前を使用できなかったために設けられた名称であり、実質的にはUFOの延長線上にある活動と見なされています。『Edge Of The World』のレコーディングには、後にUFOに加入するドラマー、エインズレー・ダンバーも参加しています。

また、2002年には$ign of 4というプロジェクト名義でアルバム『Dancing With St. Peter』をリリースしました。さらに、2024年4月には、トニー・ニュートン、ニール・カーター、トミー・ゲントリー、ジョー・ラザラスといったメンバーと共に新バンド、MOGGS MOTELを結成し、新たな音楽活動を開始しています。

人物

フィル・モグは、英国的な皮肉やユーモアを交えた気難しい人物としても知られています。特に、当時の内向的で英語に不慣れだったマイケル・シェンカーとは性格的に衝突することが多く、シェンカーがバンドを離れる原因の一つになったと言われています。一方で、マイケルを自宅に住まわせ、ガールフレンドと共に面倒を見るなど、情に厚い一面も持ち合わせており、両者の関係は複雑でした。

HR/HMシーンの黎明期からその声で多くのファンを魅了し、バンドの波乱の歴史と共に歩んできたフィル・モグ。UFOの象徴として、そして今なお新たなプロジェクトで音楽を追求する姿は、多くのロックファンにとって特別な存在であり続けています。

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